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2012 年度 実施状況報告書

光遺伝学的手法を用いた咬筋運動ニューロン興奮性制御におけるTASKの役割の解析

研究課題

研究課題/領域番号 24592797
研究種目

基盤研究(C)

研究機関大阪大学

研究代表者

齋藤 充  大阪大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (50347770)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード運動ニューロン / 序列動員 / 筋紡錘 / サイズの原理 / 等尺性収縮 / 三叉神経 / 閉口筋 / 光遺伝学
研究概要

食物噛み締め時に行われる閉口筋等尺性収縮の神経機構は未だ明らかではない。等尺性収縮は、運動ニューロン(MN)の軸索が細く発揮収縮力が小さい運動単位から大きなものへと序列的に動員されることにより実現されている。閉口筋における運動単位序列動員の神経機構には、運動ニューロンに対する上位中枢からの入力と筋紡錘からの感覚入力が関与することが想定されているが、その詳細は不明である。そこで、閉口筋筋紡錘を支配する三叉神経中脳路核ニューロン(MTN)の軸索に特異的に光感受性のチャネルロドプシン-2(ChR2)を発現させることで、選択的に当該神経線維を光学的に刺激して、三叉神経運動核(TMN)閉口筋領域内のαMNがどの様に活性化されるかを明らかにすることで、閉口筋等尺性収縮時の運動単位序列動員における筋紡錘感覚入力の役割を明らかにする。
本年度は、TMNにおけるMTNの神経終末の分布を、当該終末のマーカーであるVGLUT1に対する免疫組織染色を用いて解析した。VGLUT1陽性の神経終末はTMNの背外側部に認められ、腹内側部には認められなかった。閉口筋及び開口筋MNはそれぞれTMNの背外側部、腹内側部に分布しており、開口筋MNが筋紡錘感覚の入力を直接受けることはないという報告と合致していた。
現時点では、こうしたVGLUT1を発現するIa群入力にChR2-YFPを選択的に発現させることには成功していないが、子宮内電気穿孔法により、大脳皮質第2/3層錐体細胞にChR2と蛍光タグYFPを発現させることには成功している。また、光刺激により第2/3層錐体細胞が活動電位を発生することを観察し、光刺激実験装置が実際に作動することまでを確認することができた。しかしながら、子宮内電気穿孔法では、目的とする三叉神経運動核へのIa入力系に選択的にChR2と蛍光タグを発現させることには未だ成功していない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

光刺激実験装置の動作を確認するため、簡便な子宮内電気穿孔法により、既存のChR2-YFPを大脳皮質第2/3層錐体細胞に発現させて、光刺激により第2/3層錐体細胞が活動電位を発生することを観察することを試みたが、予想外に多くの時間を要した。また、目的とする三叉神経運動核へのIa入力系に選択的にChR2と蛍光タグを発現させることには未だ成功していない。

今後の研究の推進方策

現在、ニューロンへの遺伝子導入に用いる子宮内電気穿孔法に精通している京都大学大学院理学研究科の田川義晃講師から手技の指導を受けている。研究代表者の当研究室で当該法を実施するための備品の設置や試薬の準備は完了しており、年度初期の内に遺伝子導入に取りかかることが出来る。
ChR2と蛍光タグYFPを融合させたChR2-YFPを発現させるベクターを設計する際に、適切なプロモーターを選択することで、特定の蛋白質を発現する細胞にのみ融合タンパクを導入できる。MTNニューロンの細胞体および軸索終末にはVGLUT1が発現していることが知られていることから、VGLUT1の100kbp未満のプロモーター群の中から適切な候補を探索する。一方、前運動ニューロンには複数の型の細胞が含まれるため、プロモーターの選定より先に示標となる蛋白質の検索が必要となるが、Peng et al.(J Comp Neurol, 2009)に拠れば、現時点ではVGLUT2が有力な候補として挙げられる。各細胞に特異的でChR2-YFPの導入に最適なプロモーターを決定するまでは、神経系全体に存在するThy-1.2を利用したベクターを設計する(Wang et al., PNAS, 2007)か、或いは、Jackson Laboratories (Bar Harbor, ME) からThy1-ChR2 mice を購入する。

次年度の研究費の使用計画

次年度は、本年度からの繰越金を合わせ凡そ1,400千円の予算がある(以降、金額の単位は千円)。
物品費として、一般試薬100、蛍光試薬200、組織化学実験用試薬200、分子生物学実験用試薬400、実験動物150、ガラス・プラスチック器具50、その他費用として、成果発表及び調査の為の旅費200、英語論文校正料50、研究成果投稿料50、をそれぞれ予定している。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] GABA(B) receptor-mediated presynaptic inhibition reverses inter-columnar covariability of synaptic actions by intracortical axons in the rat barrel cortex2013

    • 著者名/発表者名
      Sato, H. et al.
    • 雑誌名

      European Journal of Neuroscience

      巻: 37 ページ: 190-202

    • DOI

      10.1111/ejn.12041

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Capsaicin induces theta-band synchronization between gustatory and autonomic insular cortices2012

    • 著者名/発表者名
      Saito, M. et al.
    • 雑誌名

      The Journal of Neuroscience

      巻: 32 ページ: 13470-13487

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.5906-11.2012

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Illusion caused by vibration of muscle spindles reveals an involvement of muscle spindle inputs in regulating isometric contraction of masseter muscles2012

    • 著者名/発表者名
      Tsukiboshi, T. et al.
    • 雑誌名

      Journal of Neurophysiology

      巻: 108 ページ: 2524-2533

    • DOI

      10.1152/jn.00997.2011

    • 査読あり
  • [学会発表] Phospholipase C-related inactive protein modulates desensitization and resensitization of GABAA receptor currents in the barrel cortex2012

    • 著者名/発表者名
      Toyoda, H. et al.
    • 学会等名
      Society for Neuroscience The 42nd Annual Meeting
    • 発表場所
      New Orleans
    • 年月日
      20121014-20121014
  • [学会発表] A physiological method to determine the vertical dimension of occlusion2012

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, Y. et al.
    • 学会等名
      Society for Neuroscience The 42nd Annual Meeting
    • 発表場所
      New Orleans
    • 年月日
      20121014-20121014
  • [学会発表] カプサイシンによって惹起される島皮質味覚野-自律機能関連領野間のθリズム同期化現象2012

    • 著者名/発表者名
      齋藤充 他
    • 学会等名
      第35回日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20120918-20120918
  • [学会発表] PRIP遺伝子欠損によりバレル皮質錐体細胞におけるGABAA電流の脱感作および再感作が増強する2012

    • 著者名/発表者名
      豊田博紀 他
    • 学会等名
      第35回日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20120918-20120918
  • [備考] 口腔生理学教室(姜研究室)ウェブページ

    • URL

      http://web.dent.osaka-u.ac.jp/~phys/

  • [備考] 大阪大学 最新研究成果リリース

    • URL

      http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/ResearchRelease/2012/10/20121017_1

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公開日: 2014-07-24  

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