研究課題/領域番号 |
24592797
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
齋藤 充 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (50347770)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 序列動員 / 三叉神経 / 閉口筋 / α運動ニューロン / γ運動ニューロン / 張力調節 / 運動単位 |
研究実績の概要 |
Frieseら(PNAS, 2009)が報告した様に、脊髄神経前根の運動ニューロンプールでは、細胞径のヒストグラムは明瞭な二峰性を示し、小径・大径の峰がそれぞれ専らγ及びα運動ニューロン(MN)で構成されている。しかし、三叉神経閉口筋MNにおいて、Frieseらと同じ方法でα及びγMNを同定し、細胞径の分布を検討したところ、全体としては二峰性を示し、大径の峰は専らαMNから成っていたが、小径の峰にはαMNとγMNが混在し、非常に径が小さいαMNが存在していた。このことは、閉口筋が低張力~高張力の広範囲において、精緻な張力調節を実現している、最も基礎的な神経機構であることが示唆された。次に、αMN及びγMNを同様の方法で電気生理学的記録後に同定することで、閉口筋αMN及びγMNを区別して膜特性を解析した。αMNは4AP感受性K+電流(所謂A電流)が顕著で、低閾値型Ca2+スパイク(LTS)を示さない1型と、A電流は1型程顕著ではないが、明確なLTSを示す2型のサブクラスに分かれ、一方γ運動ニューロンは、脱分極性長パルス電流注入の後に続く後脱分極電位(Pulse-ADP)及び持続性Na+電流によって特徴付けられることが判った。ChAT陰性の非MNはGABA作動性介在ニューロンと推測されるが、それらはLTSのみを示し、A電流やPulse-ADP、持続性Na+電流は認められなかった。また、薄切標本において、三叉神経運動核閉口筋領域内の径の異なる近接する2細胞に対して同時パッチクランプ記録を行った結果、常に小径の細胞において静止膜電位がより過分極側、入力抵抗が大、閾膜電位が過分極側、閾値(電流)が小、同じ注入電流に対する第一活動電位の発火タイミングが早い、等々の所見がみられた。以上のことから、三叉神経閉口筋αMNの序列動員様式は脊髄神経系と異なる特徴を有することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ChR2-YFP発現マウスの手配が順調に進まず、それらを使用した実験に遅れが生じている。但し、当該実験以外の部分については全て完了している。
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今後の研究の推進方策 |
ChR2-YFP発現マウスを用いて、三叉神経運動核閉口筋領域に入力する三叉神経中脳路核由来の入力線維を光学的に刺激することで、電流滑走等のアーティファクトを排除した状態で、当該領域内のα運動ニューロンの動員様式を正確に観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ChR2-YFPマウスの手配が遅れ、それらを使用した実験に遅れが生じており、当該実験に要する費用を次年度へ繰り越すため。
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次年度使用額の使用計画 |
ChR2-YFPマウスを用いた実験に要する消耗品等の購入に充てる。
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