三叉神経閉口筋運動ニューロンでは、四肢・体幹筋同様サイズの原理に基づいた序列動員が行われるが、不均一なTASK1/1及びTASK3/3チャネル分布により、細胞体径の分布幅に見合う範囲を上回って入力抵抗値は広範な分布を示した。この特徴が、伸張反射回路を介する筋紡錘感覚入力により精緻な張力調節を実現する最も基礎的な機構となっていることが考えられた。また、一酸化窒素作動性入力の活性化により、同ニューロンの動員様式が変調を受ける可能性が示された。これらの所見から、閉口筋の運動制御に関わる脳幹の神経回路は、四肢・体幹筋の制御に関わる脊髄レベルの神経回路とは根本的に異なる特徴を有することが明らかとなった。
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