研究課題/領域番号 |
24592802
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
武 洲 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (10420598)
|
研究分担者 |
中西 博 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20155774)
|
キーワード | 歯周病 / pgLPS / 髄膜細胞 / ミクログリア / TLR2 |
研究概要 |
今年度では、歯周病菌phorphyromonas gingivalisのリポ多糖類(pgLPS)を用いて、In Vitro 実験を中心に解析を行った。その結果、pgLPSで刺激したマクロファージの培養上清を髄膜細胞に適用するとIL-1βならびにTNF-αのmRNA発現がpgLPS単独刺激よりも有意に増大した。pgLPSによるIL-1βならびにTNF-αのmRNA発現増大は抗TLR2抗体で有意に抑制されたが、抗TLR4抗体は影響を及ぼさなかった。また、pgLPSで刺激した髄膜細胞の培養上清をミクログリアに適用するとIL-1βならびにTNF-αのmRNA発現がpgLPS単独刺激よりも有意に増大した。pgLPSによる髄膜細胞、ミクログリアにおけるIL-1βならびにTNF-αのmRNA発現増大は抗TLR2抗体で有意に抑制されたが、抗TLR4抗体は影響を及ぼさなかった。さらに、pgLPSはマクロファージならびに髄膜細胞においてIkBαのリン酸化を誘導することが明らかとなった。以上の結果により、pgLPSはTLR2を介して髄膜細胞においてNF-kBを活性化し、IL-1βならびにTNF-αなど炎症性メディエーターの産生分泌を誘導することでミクログリアを活性化し、脳炎症を誘導することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯周病菌phorphyromonas gingivalisのリポ多糖類(LPS)の刺激により、脳髄膜細胞から様々な炎症性因子が産生分泌されることならびにそれによりミクログリアが活性化されることが明らかとなった。よって、歯周感染に伴い髄膜ーグリア防御システムの破綻がin Vitro にて解明された。
|
今後の研究の推進方策 |
抗CD11b磁気マイクロビーズを用いて対照群ならびに病態マウス脳からMACS法によりミクログリアを分離し、炎症性メディエーター(IL-1β、TNF-α、IL-6、PGE2、NOなど)の産生、細胞の増殖、炎症性メディエーターによる遊走性ならびに貪食機能について定量解析を行う。さらに、歯周病病原菌P.g LPSの慢性投与による脳炎症ならびに記憶への影響についての検討を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
学会発表に係る旅費ならびに謝金が当初計画より少なくなったため。 次年度(平成26年度)において消耗品費として使用。
|