近年、歯周病はアルツハイマー病のリスク因子として注目されている。本研究は歯周病を低レベルの末梢炎症状態と捉え、『脳をまもる髄膜ーグリア防御システム破綻を引き起こし、脳炎症ならびに学習・記憶障害をもたらす』可能性とそのメカニズムについて検討を行った。その結果、歯周病菌とその関連成分(LPS)によりTLR2依存的に脳髄膜細胞から分泌される炎症因子を介してミクログリアが活性化され、中年マウスにおける学習・記憶障害を引き起こすことが明らかになった。さらに、老化に伴うミクログリアの反応性増大が、アルツハイマー病の脳においてアミロイドbetaを介した脳炎症を増幅する重要なファクターとなることが示唆される。
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