研究課題/領域番号 |
24592803
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中野 啓子(安松啓子) 九州大学, 歯学研究科(研究院), 学術研究員 (50380704)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 味覚 / 鼓索神経 / 舌咽神経 / 甘味 / 生活習慣 / 味覚異常 |
研究概要 |
近年の食生活の変化により摂取する栄養バランスの崩れから生活習慣病や味覚異常が引き起こされていると言われる。しかし、味覚研究において食生活による味覚異常や味覚異常に伴う生活習慣病発症を裏付けるデータはほとんど報告されていない。そこで本研究課題では、継続的な甘味溶液摂取により味覚感受性がどのように変化し、その現象の分子基盤を解明することが目的としている。当該年度においては、継続摂取した甘味以外の味覚への影響、感受性変化を引き起こす摂取期間の検討、鼓索神経と舌咽神経の比較について研究を実施した。 その結果、水を摂取したコントロールマウスと、7日間2mM saccharin-Naを継続摂取したマウスでは、甘味以外の味覚については、鼓索神経および舌咽神経の全神経線維束応答において有意な差は見られなかった。感受性変化を起こす摂取期間については、3日間では水摂取マウスとsaccharin摂取マウスの間で有意な差は検出できず、本研究で用いた期間の中で7日間が必要であることが示唆された。さらに舌咽神経においても変化が見られ、7日間saccharin摂取マウスの甘味応答が有意に増大した。ショ糖、およびSC45647における濃度応答曲線では最大応答値に変化が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書における目的のなかで、当該年度は「持続摂取した味覚のみが感受性を変化させるのかどうか、また、味覚神経の種類(鼓索神経と舌咽神経)によって違いはあるのか。どのくらいの摂取時間で感受性の変化は形成されるのか。」を解明することを目的としていた。これらの問題について回答となるデータが十分得られた。しかし摂取14日後のデータが得られていないためこの評価にした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は全神経線維束応答の結果に基づき、特に甘味に応答する単一神経記録を行い、濃度応答曲線から受容体の親和性や最大応答値を算出し、味覚の受容膜レベルの変化を検出したい。また同時に、マウスの体重による変化の違い、摂取14日などの条件検討も行いたい。これらを基にして受容体発現量の検討に実験を進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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