研究課題
細胞の機能を調節する細胞内の情報伝達機構の主要なものに、タンパク質のリン酸化・脱リン酸化を介するものがある。細胞内でこの反応が起こる時間や場所は厳密な調節を受けるが、その詳細な仕組みは解明途上である。我々はタンパク質のリン酸化・脱リン酸化を担う複数の酵素と複合体を形成する細胞内シグナル分子 PRIP を見出したので、本研究ではこの分子の役割を、主に開口分泌調節に焦点を当てて解明を試みた。最終年の平成26年度には、(1)PRIP の C2 ドメインが他の開口分泌調節分子にも存在する C2 ドメインとヘテロダイマーを形成することを見出し、PRIP による開口分泌の調節には各分子の C2 ドメインを介した分子間相互作用の修飾も関与することが示唆された。(2)昨年度までに PRIP と結合するキナーゼ Akt の新たな基質として SNARE 分子と結合する tomosyn を見出したが、引き続き検討を行いtomosyn の Akt によるリン酸化が開口分泌の調節に関わることを確認し、これらの成果を論文として発表した。本課題の研究期間全体を通じて、PRIP 複合体が細胞内で開口分泌が行われている場所に局在する機構(細胞膜リン脂質、膜融合調節分子複合体 SNAREsや synaptotagmin との結合)、PRIP が開口分泌調節に関わる各分子間結合に競合的に作用すること、PRIP が自身のリン酸化によって複数の脱リン酸化酵素との結合状態を調節すること等を見出した。これらの成果は、タンパク質のリン酸化と脱リン酸化を担う複数の酵素と複合体を形成する PRIP という分子を通して、細胞内のリン酸化シグナルの時空間的な調節機構の理解を進め、その異常に基づく疾患の病態解明に資するものである。
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