研究課題/領域番号 |
24592806
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
|
研究分担者 |
久木田 敏夫 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70150464)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 破骨細胞 / 分化 / マクロファージ / RANKL / レポーター細胞 |
研究概要 |
破骨細胞は造血幹細胞に由来する細胞で、正常な骨代謝や病的な骨破壊において重要な役割を持っている。破骨細胞分化因子RANKLが明らかとされ、RANKLで発現が誘導される遺伝子の網羅的な解析等から破骨細胞の分化に関わるタンパク質が多く明らかにされている。しかしながら、どのように破骨細胞特異的な分化調節が行われているかまだ不明な点が多い。本研究では、発現が低いが破骨細胞分化に必須な遺伝子をスクリーニング出来る方法として、shRNAライブラリーを用いてsiRNAによる分化の抑制を指標に破骨細胞の分化に必須な新たな調節因子をスクリーニングすることを目的とした。そこで、今年度は、効率よく遺伝子をスクリーニングするために破骨細胞に分化すると蛍光蛋白質を発現するレポーター細胞を作成することを試みた。破骨細胞において特異的に発現するカテプシンKのプロモーター及びNFATc1応答配列を、GFPの改変型蛍光蛋白質VenusやCrimsonなどの蛍光蛋白質の遺伝子の上流に結合させた選択マーカー付きプラスミドを作成した。これらのプラスミドをマクロファージ細胞株RAW-Dに遺伝子導入した結果、RANKLで誘導される破骨細胞に蛍光蛋白質の発現が検出された。そこで、これらのプラスミドが染色体に組み込まれたRAW-Dクローンを作成した。それぞれのクローンにRANKLを添加して破骨細胞分化を誘導し、蛍光蛋白質の発現を共焦点レーザー顕微鏡により解析しレポーター細胞のスクリーニングを行った。その中に一つRAW-ctsk-Venus1はRANKL添加により、殆どの細胞がVenusの発現を誘導しその中でも一部の単核細胞は強く発現した。また3日間でVenusを発現する多核細胞を形成した。発現の上昇は特異的で破骨細胞を誘導しないLPSやTNFでは上昇しなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度においては、カテプシンKプロモーターあるいはNFATc1応答配列を用いて破骨細胞に分化すると蛍光蛋白質を発現するレポーター細胞を樹立することが一つの目的であった。本研究計画において、RANKLによってGFPを発現するレポーター細胞を作成する予定であったが、発現レベルが低いことも考え、蛍光が強いGFP改変型のVenusに変更した。RANKLの添加によりカテプシンKプロモーターでVenusの発現は顕著に亢進した。現在取得出来ているクローンは、RANKL特異的にVenusの発現が誘導されること、誘導される破骨細胞が100%Venus陽性であることから、この細胞を用いて破骨細胞の分化に関わる遺伝子をスクリーニングすることが可能であると考えられる。このように、細胞株が作成できたため、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
レポーター細胞が樹立出来たので、この細胞を用いてレンチウイルスshRNAライブラリーを用いてレポーターマクロファージ細胞に感染させ、蛍光蛋白質の発現を指標にして細胞を単離し、次世代DNAシーケンサーを用いて破骨細胞分化に関わる遺伝子の解析及びスクリーニングを試みる。遺伝子のスクリーニングを成功させるために、厳密なスクリーニング条件を詳細に検討したいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究計画において、RANKLによって蛍光蛋白質を発現するレポーター細胞の作成が順調に進んだため、消耗品類の費用を次年度に回すことにした。25年度で行う予定の次世代DNAシークケンサ―解析は高価であり、その費用にも充てることが出来ると考えた。
|