研究課題/領域番号 |
24592806
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
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研究分担者 |
久木田 敏夫 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70150464)
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キーワード | 破骨細胞 / RANKL / shRNA / 分化 |
研究概要 |
本年度においては、レンチウイルスのshRNAライブラリーを用いて破骨細胞の分化制御に関わるタンパク質を明らかにするために、まず昨年度作成した破骨細胞分化誘導により蛍光タンパク質を発現するレポーター細胞の発現誘導の詳細な解析を行った。RANKLにより、蛍光タンパク質Venusを発現誘導するマクロファージ細胞株RAW264のレポーター細胞クローン10~20クローンにRANKLを添加し、Venusの発現をFACSで解析し、バックグラウンドが低く、Venusの発現誘導が高いクローンを選択した。Venusのタイムコースの強度変化を解析した結果、多核の破骨細胞が出現する前の24時間後に一部の細胞でVenusの強度が変化し始めることがわかった。また、破骨細胞の転写因子NFATc1及びc-FosのshRNAレンチベクター及びコントロールとしてEGFPshRNAレンチベクターを構築し、HEK293T細胞でレンチウイルス粒子を作成し、このレンチウイルスをRAWクローンに感染させFACSによりVenus陽性細胞の強度を検討した結果、RANKL添加24~36時間後にc-Fos shRNAレンチウルイスを感染した場合に、一部の細胞集団のVenusの発現が抑制されることがわかった。現在、shRNAライブラリーを取得し、RANKLで増加するVenus陽性細胞の細胞表面抗原の解析を行い、FACSAriaにより、この細胞集団を効率よく濃縮させる条件検討を行っている。また、別の方法で明らかとなった破骨細胞分化に関わる新たなタンパク質の発現を、shRNAレンチウイルスを用いて抑制したところ、RAW264 レポーター細胞のVenus発現やNFATc1 やc-Fosの発現を抑制することも見出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
破骨細胞の分化制御に関わるタンパク質を明らかにするためには、レポーター細胞のクローンを注意深く選択し、レンチウイルス感染の最適な条件やタイミングを決定することが最も重要であると考えたため、Venus発現及び破骨細胞分化誘導能や細胞表面抗原など様々な性状を解析しレポーター細胞の選択を行った。コントロールshRNAレンチウイルスベクターをいくつか構築し感染予備実験を行うことにより、感染条件、感染効率、タイミングなどの検討を行う事が出来、ほぼ最適な条件を決定することが出来た。そのため次世代シークエンスの実験までは行う事が出来なかったたが、シークエンス解析を行う準備はほぼ整った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に検討した条件でshRNAレンチウイルスライブラリーをマウスマクロファージ細胞RAW-Venusレポーター細胞に感染させ、Venusの発現が抑制された細胞集団と発現が抑制されない細胞集団を濃縮し、ゲノムを抽出後PCRを行い、次世代シークエンスによる解析を行う。次に、シーケンスのデータの解析を行いVenus発現を抑制するshRNAを選び出し、破骨細胞分化に関わる新たなタンパク質を見出す。さらに、既知の転写因子、細胞内シグナルとの関係を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
費用が高価である次世代シークエンス解析を本年度に計画していたが、スクリーニングに用いるレポーター細胞の解析やshRNAレンチウイルス感染実験などの設定を注意深く行ったため、予定していたよりも時間を要し、次年度に次世代シーケンスの解析を行うことにした。 決定した条件下でレポーター細胞にshRNAライブラリーを感染させ、FACSAriaを用いてVenusの発現が低下した細胞集団と低下しない細胞集団を集めてゲノムを抽出する。PCR反応後次世代シーケンサーを用いて解析を行う。今年度使用しなかった費用をこの解析の費用に使用する。また、新しい遺伝子の候補についての機能解析実験や学会などの発表等にその他の費用も必要とする。
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