研究課題/領域番号 |
24592806
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
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研究分担者 |
久木田 敏夫 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70150464)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 細胞分化 / 破骨細胞 / 膜タンパク質 |
研究実績の概要 |
昨年度までに、破骨細胞に破骨細胞に分化するとVenusを発現するレポーター細胞を作成し、Venusの発現誘導やレンチウイルス感染至適条件の設定を行なってきた。本年度は、レンチウイルスのshRNAライブラリープラスミドを取得しウイルス粒子を作成し、RAW-Venus細胞に感染させりVenus強度が減少する細胞集団を濃縮し、ウイルスゲノムshRNAを次世代シークエンスにより解析するためにゲノム抽出を行なった。 まず、ウイルス感染で細胞分化が影響を受けるVenus陽性細胞集団の特性を調べた。RAW-Venus細胞をRANKLで刺激して細胞表面のFACS解析を行なったところ、CD11bの発現は変化せずRANKの発現は上昇しており、この細胞が前駆細胞であると考えられた。次にshRNA レンチウイルスライブラリーを作成し、RAW-Venus細胞に感染させpuromycinで選択し、さらにRANKLで40-44時間刺激した。細胞の抗体染色を行ない、FACSによりVenus強度と細胞の細胞表面の膜タンパク質CD11b、RANK及びDC-Stampの発現をコントロールベクター感染と比較解析を行なった。その結果、単核のVenus陽性破骨細胞前駆細胞ではコントロールと比較し、shRNAウイルス感染によりCD11bとDC-stampの発現は変化しなかったがVenusとRANKの発現が顕著に低下する集団が現れた。そこで、このVenus及びRANK発現が低下した細胞集団をFACSariaを用いて濃縮しゲノム抽出を行なった。比較対照としてはVenus陽性の細胞全体を用い、これら2つの集団に含まれるshRNAを比較解析することにより、破骨細胞の分化制御に関わる遺伝子の探索を行なっている。また、この研究に関連して、shRNAレンチウイルス感染により発現を抑制すると、破骨細胞の分化が阻害されるいくつかの遺伝子の解析も行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では今年度中にVenus陽性細胞を濃縮し、次世代シークエンス解析を行なう予定であったが、スクリーニングの信頼性を上げるために、shRNAライブラリー感染によって破骨細胞分化が影響を受ける細胞集団を詳細に解析する必要があると考え、レポーター細胞のVenus強度だけなく、破骨細胞の分化に関わるいくつかの細胞表面タンパク質について2重、3重染色を行ないFACSを用いて細胞集団の解析を行なった。また、FACSの解析の細胞を当初固定して用いたところ、ゲノム抽出やその後のPCR反応に問題が生じたため、再度条件検討を行なった。そのため、次世代シーケンス解析は準備途中の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニングの条件検討に時間を要したが、現在、細胞とゲノムの準備は終了しており、より確実なスクリーニングが行なうことが出来ると考えられる。今後、次世代シークエンスによる解析を行ない、Venus陽性細胞全体と比較してshRNA感染によってVenus発現が減少した細胞集団に多く含まれるshRNAを明らかにする。このスクリーニング法より、発現を抑制するとVenus発現を上昇できない、破骨細胞の分化の進行が妨げられる遺伝子(特に転写因子やシグナル因子)に注目し解析を行なう。候補遺伝子のいくつかのshRNAウイルスを作成し、Venus発現を抑制するかどうかについて確認実験を行い、破骨細胞分化に関わる新たなタンパク質群を見出し、既知の破骨細胞分化に関わる転写因子、細胞内シグナルとの関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シーケンス解析を受託解析で今年度中に行なう予定としていたが、費用が高価であるため、次世代シーケンス解析に用いる細胞の濃縮及び解析やゲノム抽出条件の検討に予定していたよりも時間をかけ、次年度に次世代シーケンス解析を行なうことにした。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、細胞とゲノムの準備は殆ど終わっており次世代シーケンサーを用いた受託解析を行う段階である。解析で明らかになった遺伝子のshRNAウイルスの作成やその機能の解析を行なう。今年度使用しなかった費用をこれらの解析の費用に使用する。
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