研究課題
RANKLで発現が変化する遺伝子の網羅的な解析は多く行われているが、破骨細胞分化に必須な制御蛋白質についてはまだ情報が不足している。本研究では、バーコート配列付のプール型shRNAレンチウイルスライブラリーを用いてshRNAによる分化の抑制を指標に、破骨細胞の分化に必須な新たな調節因子をスクリーニングすることを試みた。昨年までの研究により、スクリーニングに用いる破骨細胞分化誘導により蛍光タンパク質Venusを発現するレポーター細胞、RAW-V1細胞を作成し、shRNAにより破骨細胞の分化が抑制されたVenus陽性細胞の細胞表面抗原の性状を解析した。今年度は、コントロールVenus陽性細胞集団P5とshRNAライブラリー感染によりVenus発現が低下する細胞集団P4を、セルソーターを用いて分取し、ゲノムを抽出後ゲノム中のバーコードの配列を次世代シーケンサーを用いて解析することにより、破骨細胞分化抑制に関わるshRNAの解析を行なった。その結果P5と比較しP4には100倍以上濃縮されているshRNAが168遺伝子、10以上濃縮されている遺伝子が369遺伝子明らかになった。その中には、破骨細胞では報告されていない転写因子が5つと破骨細胞での機能が報告されているMAP3KとVav3を含むシグナル因子や膜受容体、破骨細胞の骨吸収に関わるMMP9、gelsolinなどの分泌因子が含まれていた。さらに、T細胞の分化や活性化に関わる因子が多く含まれていた。一方、破骨細胞分化で働くことが報告されているFos, Jun, Nfatc1のshRNAはP5と比較しP4で2倍から4倍程度の濃縮が見られた。P4で多く見られた遺伝子の破骨細胞分化における発現とshRNAノックダウンの作用を調べた結果、いくつかの遺伝子ではRANKLで発現が誘導されノックダウンにより分化が抑制された。
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