研究課題
歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisではエンドペプチダーゼであるジンジパインの研究が先行しており、細胞外ペプチドの最終分解過程を司るエキソペプチダーゼに関する研究は少ない。それでも2001年までにはジペプチジルペプチダーゼ(DPP)4、DPP7、プロリルトリペプチダーゼA(PtpA)が明らかとなっていた。私たちは2011年に、酸性アミノ酸特異的な新規DPP、DPP11を発見し、この謎の一端を明らかにした。その結果から、さらに歯周病原性細菌にはまだ未知のDPPやエキソペプチダーゼが発現しており、全ての種類の配列のペプチドを分解することによって、限定栄養条件での生存を可能にしていると考えるに至った。そこで、既存のペプチダーゼでは分解できないペプチド結合を念頭に置き、新規ペプチダーゼを同定することを目的とした。3DPP遺伝子破壊株を作成した所、疎水性アミノ酸特異的なジペプチド産生能が残った。DPP様構造を有する遺伝子を大腸菌発現したところ、PGN_0756がほぼこの残存活性を示した。本酵素は従来コウジ菌などにのみ分布するとされてきたDPP5のオルソログであった。さらにDPP5遺伝子も破壊したところ、Met-Leu遊離活性が誘導された。検討の結果、疎水性アミノ酸を好む新規ペプチダーゼであった。本分子はジペプチドとトリペプチドを遊離し、しかも、N末ブロックペプチドを効率よく分解した。従来いかなる種でも知られていない新規酵素であり、アシルオリゴペプチジルペプチダ-ゼと命名した。本酵素はDPPが利用できないN末修飾ペプチドから非修飾末端を生じさせるたるために重要だと考えられる。総合すると歯周病原性細菌は従来考えられていたよりも、特異性の異なる多数のエキソペプチダーゼが発現しており、細胞外ポリペプチドを余すところなく利用していることが明らかとなった。
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