研究課題/領域番号 |
24592811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
友村 明人 明海大学, 歯学部, 教授 (60188810)
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研究分担者 |
友村 美根子 明海大学, 歯学部, 准教授 (30217559)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨代謝 |
研究概要 |
血清カルシウムを調節する破骨細胞はReceptor activator of NF-κB ligand (RANKL) 刺激でマクロファージ系細胞から分化する。カルデクリンは膵臓由来の血清カルシウム降下因子で、破骨前駆細胞のRANKL刺激によるSyk経由のPLCγの活性化を抑制し、Ca2+オシレーション‐NFATc1活性化による破骨細胞分化を抑制した。一方、カルデクリンは成熟破骨細胞のRANKLによる骨吸収作用も抑制した。カルデクリンは成熟破骨細胞のc-Srcの活性化を抑制し、Syk-PLCγ-Ca2+流入によるアクチンリング形成を抑制し骨吸収を抑制した。破骨細胞のc-Src は分化とともに発現しKOマウスでは破骨細胞分化には障害がみられないが骨吸収機能が障害される。このことからカルデクリンの破骨細胞分化抑制はc-Src以外のSrc family kinase (SFK)の活性化を抑制する可能性を示唆した。本研究ではカルデクリンのRANKL刺激によるSFKの抑制効果について検討した。マクロファージ由来細胞株RAW264.7を用いてRANKLによる破骨細胞分化過程におけるSFKの動態について検討した。SFKのうちFynはRANKL刺激後から発現が上昇し、Lynは発現が低下した。また、RANKLはFynおよびLynのリン酸化を促進した。カルデクリンはFynとLynのリン酸化に抑制的に作用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
破骨細胞のRANKLによる分化過程において発現と活性化が変動するSrc family kinaseのFyn, lyn, Src、特にRANKL受容体RANKと結合して分化シグナルを指令するFynとLynはリン酸化抗体による活性化の検出が困難であった。免疫沈降による検出系の設定に時間がかかったことが計画の遅れとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
カルデクリンは破骨細胞分化初期および成熟期においてRANK直下のシグナル抑制、特にSrc family kinaseに関連している可能性が高まった。 RAW264.7細胞およびマウス骨髄由来マクロファージを用いて、FynとLynによる免疫沈降によるFynとLynのリン酸化およびRANKとの複合体形成におけるカルデクリン処理の影響と、SFKによって活性化されるphosphataseやITAMにおけるカルデクリン処理の影響について研究を進める また、カルデクリン結合タンパクの検索は架橋剤による架橋後に電気泳動で確認、MS解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
FynとLynの特異抗体を用いて各免疫沈降を行い、FynやLynのチロシンリン酸化、RANKとの結合、ITAMとの結合を検出しカルデクリンの抑制効果を確認する Phosphataseのリン酸化抗体を用いてカルデクリン処理の影響を検討する。影響があった場合はFynあるいはLynとの結合を免疫沈降で確認する Tag付きカルデクリンとRAW細胞との架橋形成後、電気泳動を行いTag抗体で検出する。マス解析で候補タンパクを特定する。
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