研究課題/領域番号 |
24592811
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
友村 明人 明海大学, 歯学部, 教授 (60188810)
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研究分担者 |
友村 美根子 明海大学, 歯学部, 准教授 (30217559)
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キーワード | 破骨細胞 / 分化 / プロテアーゼ |
研究概要 |
Receptor activator of NFκB ligand (RANKL)による破骨細胞の分化と成熟破骨細胞の骨吸収機能にはリン酸化・脱リン酸化シグナル、GTP交換シグナル、Ca2+シグナルなどが協調的に関係している。これらのシグナルは2種類の受容体(RANK, immunoreceptor)と接着受容体integrinのシグナルが協調的に働き、細胞膜シグナルプラットホームを形成するが、時空的関係が明らかでない。血清カルシウム降下因子カルデクリンは破骨細胞の形成抑制と成熟破骨細胞の骨吸収抑制作用を持つ機能性タンパク質である。本研究では、破骨細胞の受容体シグナルが細胞膜上で集合しシグナルプラットホームを形成する過程をカルデクリンが抑制する機構を解明するために、カルデクリンの受容体/結合タンパク質の同定からシグナル伝達経路までを明らかにすることを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
カルデクリンは成熟破骨細胞のRANKL受容体RANKに結合するTRAF6とc-Src複合体形成を抑制してc-Srcのリン酸化を抑制すること、c-Srcはインテグリンと恒常的に結合していること。また、骨吸収機能に関与するPyk2のリン酸化を抑制してアクチンリング形成を抑制することが明らかになった。カルデクリンは破骨細胞前駆細胞のRANKL受容体RANKに結合するSrc family kinase(SFK)のFynのリン酸化を抑制したが、SFKのLynのリン酸化には影響しなかった。以上のことからカルデクリンはRANKとSFKとの会合状態を抑制する可能性を示唆している。一方、SFKと異なるシグナルであるMAPK、NFκBはRANK下流のシグナルであるが、カルデクリンは抑制していないので、カルデクリンはSFKが局在するシグナルプラットホームに作用する。カルデクリン結合タンパク質の同定は架橋剤による架橋形成により結合タンパク質を精製しようと試みているが架橋条件の最適化が遅れており達成されていない。
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今後の研究の推進方策 |
カルデクリンと結合タンパク質の架橋条件を検討する必要がある。官能基特異的架橋剤はカルデクリンタグ部位と結合タンパクとの官能基の空間的距離が離れすぎている可能性があるので光反応性架橋剤による架橋条件を検討する。架橋条件が決まればマス解析によりカルデクリン結合タンパク質の候補タンパク質を同定し過剰発現細胞における結合実験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
結合タンパク質の精製が遅れているためタンパク質の同定にかかる費用を支出していない タンパク質同定の委託費用
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