研究課題/領域番号 |
24592815
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
須澤 徹夫 昭和大学, 歯学部, 講師 (60271285)
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研究分担者 |
上條 竜太郎 昭和大学, 歯学部, 教授 (70233939)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 再生医学 / 神経堤細胞 / 組織幹細胞 / 発生・分化 / 歯胚再生 |
研究概要 |
3年間の研究期間で、歯の再生医療を目指し、低侵襲にアクセス可能な口腔粘膜や皮膚などの体表皮に存在する神経堤由来細胞と、エナメル芽細胞へ分化可能な上皮細胞の特異的細胞表面マーカーを同定すること。表面マーカーを指標に純化した神経堤由来細胞と上皮細胞を用いた、積層培養細胞シートの培養系「間葉-上皮-間葉三層サンドイッチ培養系」を確立すること。動物への移植実験から、非歯原性細胞による試験管内で上皮-間葉相互作用を再現した歯胚再生の基礎的な技術開発を目的として計画した。 平成24年度は、神経堤由来細胞、あるいはエナメル芽細胞へ分化可能な細胞に特異的に発現する細胞表面マーカーの検索を計画した。当初、口腔粘膜のGFP陽性細胞と陰性細胞によるDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現を解析する計画であったが、口腔粘膜から回収できる細胞が極めて少ないため、対応策として唾液腺(顎下腺)組織から分散した細胞を用いて解析した。神経堤に由来する細胞でGFPが恒常的に発現するP0-Cre/CAG-CAT-EGFPマウスのGFP陽性細胞とGFP陰性細胞とのDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現の比較から、成体マウス顎下腺の神経堤由来細胞には、特徴的な遺伝子発現パターンを有することが認められ、その中から幾つかの候補となる遺伝子を抽出した。現在、候補とした遺伝子の唾液腺以外の成体組織における分布・局在、ならびに培養細胞を用いた解析を実施している。いくつかの神経堤由来細胞に特異的に発現する細胞表面タンパク質を表面マーカーとして、セルソーターを用い細胞を分取し、効率の良い細胞表面マーカーを決定する。細胞表面マーカーを指標とした細胞分取法の確立は、遺伝子改変していないマウスの成体組織から神経堤由来細胞を分取できることから意義が大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
口腔粘膜のGFP陽性細胞とGFP陰性細胞によるDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現の解析であったが、口腔粘膜真皮から回収できる細胞が極めて少なく、アレイに使用可能な良質なRNAを確保できず当初の計画から遅れてしまった。対応策として、唾液腺(顎下腺)組織から分散した細胞を用いマイクロアレイを実施し、成体マウス顎下腺の神経堤由来細胞には、特徴的な遺伝子発現パターンを有することが確認され、幾つかの候補遺伝子を抽出できた。一方、上皮組織からエナメル芽細胞へ分化可能な細胞集団の解析については、口腔粘膜上皮から採取可能な細胞数が少ない問題から解析に遅れが生じている。マウスの皮膚など、安定的に細胞数が確保できる上皮組織の細胞を用い対応する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に予定していた、上皮組織からエナメル芽細胞へ分化可能な細胞集団ついての解析は、口腔粘膜上皮から採取可能な細胞数の問題から解析に遅れが生じている。マウス皮膚など安定的に細胞数が確保できる上皮組織の細胞を用い対応する。平成25年度予定の三次元培養については、今までに唾液腺から単離した細胞をマトリゲル上で培養すると、効率良くスフェロイドを形成することを見出したことから、今年度予定の、間葉-上皮-間葉三層サンドイッチ培養系を用いた、極性のある三次元培養法と並行して、上皮細胞と神経堤由来細胞と2種細胞のスフェロイド培養系についても解析を計画する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度予定していた上皮細胞についてのDNAマイクロアレイを実施しなかったことから、今年度実施する予定である。したがって前年度未使用の研究費をDNAマイクロアレイ解析に関わる費用にあてる。成体マウスから神経堤由来細胞を分離し、細胞培養後に種々の実験に必要な費用は、実験動物としてマウス、細胞培養の際に用いるプラスチック器具、細胞培養用培地・血清、サイトカイン・抗体などである。特に、プラスチック器具は、細胞シート回収用温度対応性プレートと、低付着性プレートを含むことから通常の培養プレートに比較して高い費用となる。細胞純化に関わる費用として、セルソーターを用い細胞を分取するため、抗体を含めたFACS 関連試薬(抗体、ビーズ、シース液等)への出費が必要である。さらに三次元培養後の組織形態解析にかかる費用も研究費の中に含まれる。
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