研究課題/領域番号 |
24592821
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
山下 照仁 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (90302893)
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研究分担者 |
二宮 禎 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (00360222)
高橋 直之 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (90119222)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 骨吸収 / 天然化合物 / 質量分析 |
研究概要 |
破骨細胞の分化と骨吸収を抑制するアルクチゲニンを用い、破骨細胞における標的因子の探索および骨代謝への関与を検討し、以下の成果を得た。 1.NFATc1の転写活性に影響を与えるアルクチゲニンの阻害機構の解析:これまでの解析から、アルクチゲニン処理でNFATc1は核移行をしていたが転写活性を失っていた。本年度は、免疫沈降によりNFATc1を精製しMALDI-TOFおよびnanoLC-QTOF質量分析計を駆使して、リン酸化部位の同定を試みた。その結果、NFTAc1のDNA結合領域に新規リン酸化部位の候補をいくつか同定することが出来た。 2.NAFTc1が関与する細胞系譜に関するアルクチゲニンの影響:骨芽細胞におけるアルクチゲニンの作用を解析するために、骨芽細胞の増殖における影響を解析した。また、分化マーカ遺伝子の発現解析を行なった。その結果、高濃度のアルクチゲニン存在下であっても、骨芽細胞増殖を抑制することは無かった。さらに、Alpl、Bglap、Runx2、Osterixなどの骨芽細胞分化マーカの発現には影響しないことが判った。活性型ビタミンD添加によるRanklやOpgなど破骨細胞支持に関連する発現にも影響を与えないことが判った。 3.マウス動物モデルを用いた骨代謝におけるアルクチゲニンの作用の解析:低カルシウム食で誘導される骨吸収モデルを用いてアルクチゲニンの骨減少抑制作用を解析した。その結果、血清カルシウム値の亢進はアルクチゲニン投与群においても観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アルクチゲニンの標的因子NFATc1の転写活性の阻害がDNA結合部位におけるリン酸化修飾に依存していることを示唆するデータが得られた。また、骨芽細胞の分化におけるアルクチゲニンの影響は遺伝子発現レベルでは認められないこと、破骨細胞支持能についても影響しないことが判った。細胞生物学的解析は計画以上に達成できた。動物を用いた解析では、急激な骨吸収誘導の阻害は見られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、破骨細胞の分化を抑制する天然化合物アルクチゲニンを発見し、その標的因子NFATc1の転写活性を阻害することを明らかにした。新たに同定したリン酸化修飾とアルクチゲニンの機能の関連を詳細に生化学的・細胞生物学的な方法で明らかにしようと考えている。また、NFATc1を必須とする免疫系細胞の分化や機能に対する作用との比較を行い細胞特異性について明らかにしたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越金は物品の値引き等により発生した。申請した助成金とあわせて、次年度のRT-PCR解析の合成オリゴプライマーなどの消耗品の購入に使用する。
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