研究課題
基盤研究(C)
申請者は、膜輸送体が制御する生命現象と疾患との相互連関解析を行い、疾患の予防に貢献することを研究の全体構想として掲げている。そのために、本研究では、破骨細胞の発生・機能および骨代謝を対象にATP-binding cassette (ABC)輸送体を起点にし、①膜輸送体と生命現象との連関の解明、②膜輸送体が制御する細胞応答の解明、③生命現象の制御に関わる膜輸送体相互の連関の解明、をマイルストーンとして掲げた。。破骨細胞の発生と共に発現量が増加するABC輸送体のうち、Abca5遺伝子とAbcb4遺伝子のそれぞれを欠損させたマウスを共同研究者から分与してもらい、本学の実験動物センターでの飼育・繁殖を開始した。現在、骨代謝に及ぼす当該遺伝子の影響を解析するためにマウスを繁殖中である。一方、破骨細胞の発生と共に発現量が増加するABC輸送体のうち、Abcb9について、ポリクローナル抗体を作成した。この抗体の特異性を評価するために、Abcb9遺伝子をクローニングし、それぞれのタンパク質を安定発現する細胞株を樹立した。Western blottingにて抗体の特異性の評価を行った結果、抗Abcb9抗体が機能することが明らかになった。また、この抗体がヒトABCB9タンパク質も認識すること、および還元条件で試料を調製した方が感度良くタンパク質を検出できることが明らかになった。これらと並行して、破骨細胞に発現が認められるABC輸送体と低分子化合物との相互作用解析も行い、そのメカニズムの一端を明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
破骨細胞の発生と共に発現量が増加するABC輸送体のうち、Abca5遺伝子とAbcb4遺伝子のそれぞれを欠損させたマウスを共同研究者から分与してもらい、本学の実験動物センターでの飼育・繁殖を開始できた点は、今年度の最大の収穫である。また、破骨細胞の発生と共に発現量が増加するABC輸送体のうち、Abcb9を安定発現する細胞株を樹立し、抗Abcb9抗体を作成することができたことは、Abcb9の機能解析を行うことができるモデル細胞と解析ツールを手元に用意できたという点において評価に値する。
実験動物センターで飼育中のAbca5遺伝子欠損マウスとAbcb4遺伝子欠損マウスを繁殖させ、骨代謝に及ぼすそれぞれの遺伝子の影響をX線CT装置を用いて解析する。また、それぞれの遺伝子が破骨細胞における遺伝子発現およびタンパク質発現にどのような影響を及ぼすかについて、マイクロアレイ解析および二次元電気泳動にて解析する。また、破骨細胞の発生と共に発現量が増加するABC輸送体について、当該ABC輸送体を認識する抗体を作成すると共に、当該ABC輸送体を安定発現する細胞株を樹立する。
現在作成中である抗体の支払いのために確保してある。
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機能性食品と薬理栄養
巻: 7 ページ: 187-195
http://www3.chubu.ac.jp/faculty/nakagawa_hiroshi/