研究課題
申請者は、膜輸送体が制御する生命現象と疾患との相互連関解析を行い、疾患の予防に貢献することを研究の全体構想として掲げている。そのために、本研究では、破骨細胞の発生・機能および骨代謝を対象にATP-binding cassette (ABC)輸送体を起点にし、①膜輸送体と生命現象との連関の解明、②膜輸送体が制御する細胞応答の解明、③生命現象の制御に関わる膜輸送体相互の連関の解明、をマイルストーンとして掲げた。破骨細胞の発生と共に発現量が増加するABC輸送体のうち、Abca5遺伝子とAbcb4遺伝子のそれぞれを欠損させたマウスに加え、Abcc5遺伝子を欠損させたマウスを共同研究者から分与してもらい、本学の実験動物センターでの飼育・繁殖を開始した。また、破骨細胞において発現が認められるAbca1遺伝子を欠損させたマウスについても共同研究者から分与してもらい、本学の実験動物センターでの飼育・繁殖を開始した。骨代謝に及ぼすこれらの遺伝子の影響を解析するためにマウスを繁殖し、6週齢の時点で骨密度を測定した結果、Abca5遺伝子の欠損による影響は認められなかったが、Abcb4遺伝子の欠損によって有意に骨密度が低下することを見出した。また、共同研究者から分与してもらった遺伝子欠損マウスの遺伝的背景を全てFVBマウスにコンジェニック化することを開始した。そして、これらと並行して、破骨細胞に発現が認められるABC輸送体と低分子化合物との相互作用解析も行い、そのメカニズムの一端を明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
破骨細胞の発生と共に発現量が増加するABC輸送体のうち、Abca5遺伝子とAbcb4遺伝子をそれぞれ欠損させたマウスに加え、Abcc5遺伝子とAbca1遺伝子をそれぞれ欠損させたマウスを共同研究者から分与してもらい、本学の実験動物センターでの飼育・繁殖を開始できた点は、今年度の最大の収穫である。また、昨年度に飼育・繁殖を開始したAbca5遺伝子とAbcb4遺伝子をそれぞれ欠損させたマウスを用いて骨密度等の測定まで到達できた点は、本プロジェクトがおおむね順調に進展していることを意味する。
実験動物センターで飼育中の遺伝子欠損マウスを繁殖させ、骨代謝に及ぼすそれぞれの遺伝子の影響をX線CT装置を用いて解析する。6週齢の時点における評価が終了した動物については、12週齢および18週齢の時点においても同様の解析を実施する。また、4週齢のマウスから卵巣を摘出し、骨粗鬆症を誘発させた時におけるそれぞれの遺伝子の影響を評価する。さらに、それぞれの遺伝子が破骨細胞における遺伝子発現およびタンパク質発現にどのような影響を及ぼすかについて、マイクロアレイ解析および二次元電気泳動にて解析する。
PCR装置の修理を行う予定であったが、年度末であったため修理依頼を取り下げた。PCR装置の修理見積を依頼し、修理を行う。
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http://www3.chubu.ac.jp/faculty/nakagawa_hiroshi/