歯原性上皮の骨内微小環境での腫瘍化や進展における細胞分解系制御因子の影響を解明するため、低酸素状態関連分子について検索している。
1. 方法:エナメル上皮腫64例(初発49例、再発20例;充実型28例、単嚢胞型11例を含む)と対象の歯嚢10例を用い、HIF-1、CA IX、CD34の発現・局在について免疫組織化学により解析した。 2. 結果:HIF-1、CA IXは、歯原性上皮精細胞および間質間葉系細胞に発現がみられた。これらの発現は、歯嚢よりエナメル上皮腫で高く、充実型エナメル上皮腫で単嚢胞型エナメル上皮腫より高い傾向を示した。CD34は、間質の新生血管内皮細胞に陽性を示し、現在、観察単位面積当たりの血管密度の計測を行っている。また、HIF-1、CA IXの発現とCD34陽性血管の関連について検索中である。 3. 考察:歯原性組織の腫瘍発生に骨内微小環境下の低酸素状態が影響することが示唆された。この低酸素状態およびこれに伴う血管新生は、腫瘍組織の組織構築とも関わり、骨内進展の判定因子となり得る可能性がある。
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