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2014 年度 実施状況報告書

3次元線量分布解析システムを用いた金属修復物とスペーサーの線量分布への影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24592830
研究機関新潟大学

研究代表者

勝良 剛詞  新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30283021)

研究分担者 青山 英史  新潟大学, 医歯学系, 教授 (80360915)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2017-03-31
キーワード放射線粘膜炎 / 予防 / 歯科用合金 / 後方散乱線 / デンタルディバイス
研究実績の概要

歯科用合金の後方散乱線による口腔粘膜線量増加を予防するデンタルデバイスの設計を提示することを目的に3次元線量分布解析システムを作製し合金とデバイスによる線量分布変化の関係を解析した。合金とデバイス素材に広く利用されている金パラ合金とEVA、TPO、PETを採用した。合金による最大線量増加率は後方が44%、側方が7%であり、4-5mmで増加率は0%になったが、5mm以上離れると後方線量が漸増した。EVA、TPOの線量曲線は合金のみとほぼ一致したが、PETは厚みが5mmを超えると合金のみよりも線量が増加し、増加率は厚みとともに大きくなった。 PETの密度は EVA、TPOの1.5倍であり、結果は密度を反映していると思われ、密度の大きいデバイスは自身の散乱線により粘膜炎の悪化が懸念された。これは、後方散乱線だけでなく素材による放射線の減衰を考慮しなければならないことを示唆し、より最適なデイバイス設計のためには素材や合金による深部線量分布の検討が必要であると思われた。また、PETは EVA、TPOより薄い厚みで線量増加がなくなり、PETは3mm以下、EVA、TPOは3-5mmの厚みが最適と考えられた。上記、検証はフィルム、電離箱、MCシミュレーションで行ったが検証方法で差はなかった。
本研究で提示されたデバイス設計の妥当性を検証するため12例の患者にデバイスを使用し粘膜炎の発生率と重篤度を調査した。使用前は後方散乱線による粘膜炎の悪化が 50%に認められたが、使用例は0%であった。現在、多くの施設で照射野に合金が含まれる場合、除去かそのまま治療が行われることが多い。除去は合金による粘膜炎悪化を防ぐが、照射野に含まれるという理由だけで問題のない合金が除去され治療後に再製作を要し余計な医療費がかかる。一方、デバイスは粘膜炎悪化を防ぐだけでなく合金除去が不要で医療費を抑制する。今後の課題としては、デバイスによる腫瘍制御率等の影響を多施設で検証する必要があると思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実際の放射線治療機器を使用していることから、使用限度の法規制がある。本実験は検証項目をクリアするために実験を 1206 回行わなければならず、1合金あたり 3200 Muの照射が必要となることから、1週間の患者予約を考慮しつつ行わなければならないので予定より若干の遅れが出ているのが現状である。

今後の研究の推進方策

今回の研究は非常に有益であると思われるので、場合によっては1年の研究期間延長を申請する。

次年度使用額が生じた理由

実際の放射線治療機器を使用していることから、使用限度の法規制がある。本実験は検証項目をクリアするために実験を1206回行わなければならず、1合金あたり 3200 Muの照射が必要となることから、1週間の患者予約を考慮しつつ行わなければならないので予定より若干の遅れが出ており、本年度で購入予定であった金合金、銀合金、チタン合金、デンタルデイバイス素材を購入していたいため。

次年度使用額の使用計画

次年度は、金銀パラジウム合金以外の金合金、銀合金、チタン合金を用いて金属修復物周囲の線量強度分布を自作の3次元線量分布測定システムで線量強度分布を3次元表示し、金属の組成とデンタルデイバイス素材線量強度分布の3次元的な違いと特徴を明らかにし、金属の組成ごとの最適なデンタルデバイス素材を提示する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 放射線口腔粘膜炎の悪化を予防するデンタルデバイス-その製作方法と臨床効果2014

    • 著者名/発表者名
      勝良剛詞,曽我麻里恵,林 孝文,阿部英輔,松山 洋,山野井敬彦,木村修平
    • 雑誌名

      デンタルダイアモンド 2014;6:156-160.

      巻: 6 ページ: 156-160

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 外部放射線治療における歯科用合金の後方散乱線と防護装置としてのデンタルデバイスについての検討2015

    • 著者名/発表者名
      勝良剛詞,曽我麻里恵,宇都宮 悟,棚邊哲史,阿部英輔,青山英史,坂井裕則,早川岳英,和田真一,林 孝文
    • 学会等名
      日本歯科放射線学会第56回学術大会
    • 発表場所
      仙台市(震災復興会館)
    • 年月日
      2015-06-05 – 2015-06-07
  • [学会発表] A practical evaluation of backscatter dose enhancement around high-Z dental alloy in radiation therapy2015

    • 著者名/発表者名
      Satoru Utsunomiya, Naotaka Kushima, Kouji Katsura, Satoshi Tanabe, Takahide Hayakawa, Hironori Sakai, Eisuke Abe, Shinichi Wada and Hidefumi Aoyama
    • 学会等名
      15th Internatiuonal Congress of Radiation Research
    • 発表場所
      Kyoto (Kyoto International Conference Center
    • 年月日
      2015-05-25 – 2015-05-29
  • [学会発表] Study of the influence of the backscatter electrons from high Z dental alloy on radiation dose distribution using Monte Carlo simulation2015

    • 著者名/発表者名
      N. Kushima, S. Utsunomiya, K. Katsura, S. Tanabe, T. Hayakawa, H. Sakai, E. Abe, H. Aoyama, S. Wada
    • 学会等名
      第109回日本医学物理学会
    • 発表場所
      横浜(横浜パシフィコ)
    • 年月日
      2015-04-16 – 2015-04-19
  • [学会発表] がん治療のための口腔ケア-がん看護に役立つ基礎知識-2014

    • 著者名/発表者名
      勝良剛詞
    • 学会等名
      新潟大学医歯学総合病院がん化学療法看護キャリアアップ研修会
    • 発表場所
      新潟市(新潟大学医歯学総合病院)
    • 年月日
      2014-10-24 – 2014-10-24
    • 招待講演
  • [学会発表] がん治療と歯科医療2014

    • 著者名/発表者名
      勝良剛詞
    • 学会等名
      群馬県歯科医師会新潟大学歯学部同窓会学術講演会
    • 発表場所
      渋川市(ホテル木暮)
    • 年月日
      2014-09-06 – 2014-09-06
    • 招待講演
  • [学会発表] コンセンサスカンファレンス放射線治療と口腔ケア:新潟大学医歯学総合病院における頭頸部放射線治療の口腔管理(口腔ケア)-内容・効果・課題-2014

    • 著者名/発表者名
      勝良剛詞
    • 学会等名
      第11回口腔ケア学会
    • 発表場所
      旭川(旭川市民文化会館)
    • 年月日
      2014-06-28 – 2014-06-29
    • 招待講演
  • [学会発表] 金属修復物の散乱線による放射線粘膜炎悪化の予防を目的とした散乱線防護デンタルデバイスの効果2014

    • 著者名/発表者名
      曽我麻里恵,勝良剛詞,松山 洋,植木雄志,山崎洋大,正道隆介,林 孝文
    • 学会等名
      第38回日本頭頸部癌学会
    • 発表場所
      東京(東京ファッションタウンビル).
    • 年月日
      2014-06-12 – 2014-06-13
  • [図書] Oral and Dental Healthcare for Oral Cancer Patients: Planning, Management, and Dental Treatment in: Kirita T and Omura K (eds)(2015) Oral Cancer - Diagnosis and Therapy2015

    • 著者名/発表者名
      Katsura K and Aoki K
    • 総ページ数
      419
    • 出版者
      Springer, Tokyo
  • [図書] 放射線療法:臼渕公敏(編)「がんと歯科治療」 口腔ケアから 口腔機能管理へ2015

    • 著者名/発表者名
      勝良剛詞
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      デンタルダイアモンド社
  • [図書] 頭頸部癌放射線療法の患者の口腔管理・口腔ケア:臼渕公敏(編)「がんと歯科治療」 口腔ケアから 口腔機能管理へ2015

    • 著者名/発表者名
      勝良剛詞
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      デンタルダイアモンド社
  • [図書] がんと口腔ケア:藤本篤士・武井典子(編)5疾病の口腔ケア・実践編2015

    • 著者名/発表者名
      勝良剛詞
    • 総ページ数
      -
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社

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公開日: 2016-05-27  

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