照射野内の歯科用金属は口腔粘膜炎の悪化や線量分布の不確かさをもたらし、スペーサーは口腔粘膜炎の悪化を予防し放射線治療の精度を高めるが、これらについて詳細に検討した研究はない。歯科用合金とスペーサー素材による放射線治療の線量分布への影響を電離箱、EBTフィルム、モンテカルロシミュレーションを用いて検証した。合金による後方散乱線と側方散乱線はそれぞれ6 mm以内、3 mm以内で消失し、後方散乱線による線量増加は原子番号、密度に相関し、推定式は0.077√原子番号+0.79であることが示された。また、スペーサーの至適な素材は原子番号、密度ともに低く、厚みは6 mmであることが明らかになった。
|