研究課題
シェーグレン症候群の厚生労働省の診断基準のうち、唾液腺の画像検査としては唾液腺造影法と唾液腺シンチグラフィーが採択されている。しかしながら、唾液腺造影は感度や特異度は高いが浸襲的であり、唾液腺シンチグラフィーは感度・特異度がやや低い上に、簡便とも言い難い。また両法とも被曝を伴うという欠点がある。近年MR-sialographyや超音波診断法といった非浸襲的なシェーグレン症候群の診断法が研究されている。これらは正診率は唾液腺シンチグラフィーより上であるが、初期変化の検出に関しては唾液腺造影に及ばず、未だ唾液腺造影に置き換わるに至っていない。そこで、近赤外線組織酸素モニタ併用超音波診断、MRI診断が中心の、シェーグレン症候群の非侵襲的な画像診断法の確立を目的とした研究を立案した。近赤外線組織酸素モニタにより組織損傷程度を数値化し、客観性が脆弱な超音波検査を補完、またMRIでは従来のMR-sialographyにMSDE法を応用し、血流信号の抑制により末梢導管拡張の描出能向上を図った上で、シェーグレン症候群の同一患者の治療経過を、これらの非侵襲的な画像診断法で縦断的に画像化することにより臨床経過と対比し、診断精度の向上を試みる予定であった。平成26年度はOmegawave社の近赤外線組織酸素モニタを用い、13名のシェーグレン症候群患者のデータ取得を行った。前年度の正常者同様、酸刺激後の耳下腺にはOxy-Hbの上昇傾向が認められたが、同一患者の複数回施行で違う傾向が認められたり、超音波像上の損傷程度との関連は認められないなど、唾液腺の組織損傷程度の数値化において、有効な手段とは言えなかった。一方、従来法である唾液腺シンチグラフィーに関しては、ダイナミックカーブの半定量解析を行い、正常群とシェーグレン症候群患者群に種々の分析項目において有意差を認めた。
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