研究課題/領域番号 |
24592836
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
西下 一久 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20237697)
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研究分担者 |
坂井 詠子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10176612)
岡元 邦彰 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10311846)
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30264055)
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キーワード | プロテアーゼ / 免疫 / 感染 / 炎症 |
研究概要 |
カテプシンE遺伝子を欠失しているウシとカテプシンEを発現している他種の動物との生理学的相違点に着目すると、消化管の抗微生物ペプチド群(AMPs)の作用発現への機構へのカテプシンEの関与が示唆される。すなわち消化管自然免疫の中心的役割を担うPaneth細胞はα-ディフェンシンなどのAMPsを腸管微生物由来の成分に反応するiNKT細胞からの刺激で分泌している。このうちiNKT細胞への微生物由来脂質の提示にはサポシンBが必要であるが、そのプロセッシングがアスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤であるペプスタチンAにて阻害されることが報告されている。一方、カテプシンEを欠損しているウシではiNKT細胞、Paneth細胞、さらにα-ディフェンシンも欠損しており、Paneth細胞のAMPs放出機構へのカテプシンEの関与が強く示唆される。HEK293細胞へのカテプシンE遺伝子導入を行いサポシンのプロセッシングをウエスタンブロッティングにて検討したところ、カテプシンE発現により、内在性発現している前駆型サポシンの量が減少しており、その減少はペプスタチンA存在下の細胞培養にて抑制された。 昨年度論文執筆した時点では一部のヒトにおいて遺伝子として発現するNapsin Bのアスパラギン酸プロテアーゼ活性の有無については明確ではなかった。FLAGタグ付加Napsin Bの精製法を改良したところ、ペプシンとカテプシンD、Eの合成基質を分解した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Napsin AおよびBのリコンビナントタンパク質の生化学的解析のため発現量の増加を試みていたが、タグとして付加したFLAGが生合成の早期の段階で失われることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
サポシンは消化管粘膜のみならず広く発現している一方、カテプシンEの発現は限定しているので、カテプシンEが豊富な脾臓や胸腺についてウエスタンブロッティングにてサポシンの蓄積やプロセシング不良による減少の有無を野生型マウスと欠損マウスを用いて検討する。サポシン減少はiNKT細胞の減少をもたらすことが予想されるので、CD1d-alphaGalCerを用いて血中のiNKT細胞をフローサイトメトリーで計数する。さらにカテプシンE欠損マウスにおける慢性炎症の生じやすさがサポシンの減少→iNKT細胞の減少→Paneth細胞からのAMPs分泌の減少によるものであるか否かを細菌感染実験にて解析する。 カテプシンCについては脊椎動物システインプロテアーゼスーパーファミリーメンバーをデータベース上から抽出して分子進化系統樹を作成し、比較遺伝学的に基質となるタンパク質や活性ペプチドの絞り込みを試みる。 Napsin AおよびBリコンビナントタンパク質タグが失われる問題についてはプロテアーゼ阻害剤の細胞培養への添加実験を行い、分解されにくいタグの付加により精製効率を上げた上で、プロテアーゼ活性の詳細な検討を行なう。
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