研究課題
1 昨年同様、耳下腺、顎下腺、咬筋、内側翼突筋、外側翼突筋及び舌に対し、正常者における頭頸部のMRスペクトロスコピーをシークエンスの変更を試しながら継続して行っている。同時に、成分分析を試みてきた。しかし、耳下腺、顎下腺組織には脂肪成分が極めて多いこと及び原因は不明であるが筋肉及び舌でも正確な画像の採取及び成分分析を行うことができていないのが現状である。最終年度は新たなソフトウエアを用いて、撮像及び計測することで対処していく予定である。実際に撮像が可能になった後、口腔がん患者の腫瘍部分におけるcholineとcitrateについてそれぞれの量や両者の比と病理学的性状とを比較する予定である。2 口腔がん患者の18F-FDG-PET-CT画像から得られるSUV値について、検討する中で、口輪筋と舌筋に集積が強いこと及び根尖性歯周炎と辺縁性歯周炎の程度に一致して18F-FDG集積ることを確認し、報告した。更に、口腔がん患者に対して頸部廓清術の有無及びその程度によって18F-FDGの集積に差異があることが分かった。同時に、その内容を国際雑誌に発表した。具体的には切除部が広範囲の領域では切除部とは反対側の頭頸部筋に18F-FDGの集積が強いこと、一方廓清寿値を行っていない群では集積に変化がないことが分かった。この結果は、手術後の代償性補償を捉えた画像の可能性ことを論文にして国際雑誌に発表した。3. Dynamic MR sialographyにおける唾液腺刺激後の変化率と口腔乾燥症の程度及び治療効果が関係していることを確認し、論文として発表した。今後、このデータを利用して、口腔がん患者に対して放射線照射を行った患者の間で唾液流出及び口腔乾燥感の相違をDynamic MR sialographyのデータと比較・評価していく。
3: やや遅れている
18F-FDG-PET-CT画像を用いた各種検討については、国際誌への掲載を果たし、極めて順調に進んでいる。この内容については次のデータも国際雑誌への投稿を準備している。また、口腔乾燥症の評価に関しても順調に進んでおり、国際誌の掲載を果たせる予定である。しかし、昨年同様MR spectroscopyによる腫瘍内部の性状評価に関しては頭頸部の組織に脂肪成分が多いことが一因で適切なデータが得られないものが多い。
18F-FDG-PET-CT画像による口腔がん及び転移性リンパ節の評価については、現在進行中の手術後の集積変化を加えて、研究を推進していく予定である。特に、舌癌患者の手術法の相違について周囲組織18F-FDG集積に差異があることを明らかにし、国際雑誌への投稿を行う予定である。一方、MR specrtoscopyによる腫瘍の性質評価に関してはなかなか難しく、適切なデータは出ていないものの上、上手くいかない理由を考案し、対応して行こうと考えている。平成24年度より開始した研究内容を継続して行い、分析対象者である口腔がん患者の症例数を蓄積して行く。具体的には以下の通りであるが、これらのデータに加え、本年度より新たに発見した18F-FDG-PET-CT画像にて口腔がん手術後に描出された集積の変化についても評価していく予定である。特に、手術した領域が広い群と狭い群間での集積部位の相違について明らかにしていく。その中で、頸部廓清を行った患者で行っていない領域における集積の変化にも注目し、頸部廓清により代償性に正常な筋肉の中で補っているものを明らかにしていく予定である。同時に、舌腫瘍手術後のFDGの集積の変化についても手術の術式との関係について評価していく予定である。具体的には舌腫瘍の切除部の範囲の程度により18F-FDGの集積の程度が大いに変化し、切除部が大きい際には18F-FDGの集積が広く及び高い値を示した。今後はこのデータを更に数を増やし国際雑誌への投稿を行って行く予定である。勿論、従来の腫瘍の経過を含めた臨床データ、画像診断学的パラメータ、分子生物学的パラメータを分析し、予後の指標を評価する。特に、予後の指標と統計学的に処理し、診断学的意義あるものを明らかにする。同時に多変量解析を行いパラメータの中で予後に関係するものの優劣を分析する。
必要なソフトウエアと周辺機器を購入するのが発売日との関係で遅れたため次年度使用となった。
来年度、早々に購入するので余剰分は使用可能となる予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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