研究課題/領域番号 |
24592840
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
小豆島 正典 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (00118259)
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研究分担者 |
寺崎 一典 岩手医科大学, 医学部, 講師 (60285632)
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キーワード | FDG / Choline / PET / 口腔癌 / 放射線性骨髄炎 / 顎骨浸潤 |
研究概要 |
口腔癌を治療し、その後経過観察をしている中で、骨髄炎と類似した臨床所見を呈した場合、それが癌の再発なのか、あるいは放射線による単なる骨髄炎なのか、その鑑別は困難である。本研究期間では、18F-FDGあるいは18F で標識したCholineを用いたPETとを比較し、顎骨浸潤に対する両トレーサー集積の特性を明らかにすることを目的とした。 対象は、舌癌あるいは歯肉癌の診断により治療を受け、その後の経過観察において骨髄炎が強く疑われ、癌再発の鑑別のためにFDG-PETが施行された4例とした。対照として顎骨浸潤を伴う歯肉癌20例とした。症例は全て組織学的に扁平上皮癌とした。18F-FDG 集積量は、体内に投与した放射能と患者体重とで標準化したSUVmaxとして評価し、以下の成績が得られた。 (1) 18F-FDGのSUVをそれぞれ比較したところ、骨髄炎の場合は平均5.5、顎骨浸潤を伴う歯肉癌の場合は、11.5と後者の平均値が高かった。しかしながら統計学的に両者の平均値に差はなく、SDが大きくオーバーラップしており、SUVから両者の鑑別は困難であることが明らかになった。 (2)SUVが8を越える場合には、癌の可能性が非常に高いことが判明した。 (3)放射線性骨髄炎の例で、SUVの1時間値と2時間値を比較したところ後者でSUVが高く、癌の場合と同様の傾向を示すことから、time courseによる鑑別はできないことが判明した。これらの成績から、18F-FDGはCholineと異なり腫瘍細胞のみ ならず、骨代謝に関連するosteoblastやosteoclastなどの骨代謝関連細胞へ集積し、見かけ上SUVが高値を示し、癌と骨髄炎の鑑別への応用は難しい事が推測された 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歯科医療センターを受診した口腔癌(扁平上皮癌)の患者に対し、18F-FDGを用いたPETを当初年度内に15例遂行する予定であったが、 19例のPETを行うことができた。癌の治療後に生ずる放射線性骨髄炎と癌再発との鑑別を行うためには、前者の症例が4例と不足しており、統計学的に明瞭な結論を出せなかった。特に放射線性骨髄炎に対してCholineを用いたPETができなかったので、今後Cholineの症例を増やすことが必要である。研究の考察として、18F-FDGはCholineと異なり腫瘍 細胞のみならず、骨代謝に関連するosteoblastやosteoclastなどの骨代謝関連細胞へ集積し、見かけ上SUVが高値を示している事を推測しているが、in vivoでも証明することが必要であり、今後の研究課題として残されている。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究としては、顎骨浸潤を伴う歯肉癌と放射線治療後に生ずる放射線性骨髄炎の症例をそれぞれ10症例以上のPETを行うことに重点をおき、統計学上確固たる成績を得る。in vitroでの実験ではヒト骨髄由来不死化間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell: MSC)(UE7T-13細胞)を用い、骨芽細胞を分化させその過程において18F-FDGが集積するか否か、そして骨芽細胞分化過程において生じた石灰化物に対し18F-NaFが経時的に結合するか否かを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果のために学会に出張した回数が少なかったために、41,714円差額が生じました。 研究成果を発表するために、学会に出席する予定です。
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