研究課題
口腔扁平上皮癌の発生・進展には癌遺伝子などの遺伝要因およびタバコ及び炎症などの環境要因が協同的に作用していると見なされているが、その詳細については不明の点が多い。本研究では癌の発生・進展および転移における炎症(免疫)反応の役割を明らかにし、その制御法を開発することを目的とした。気道炎症を有しているマウスにB16-F10腫瘍細胞を移入すると、対照群に比べて肺転移が増強していたが、IL-10欠損(IL-10 KO)マウスでは著明に抑制されていた。また、炎症局所におけるサイトカイン産生および抗体産生も変動していた(論文作成中)。気道炎症は卵白アルブミンを投与することによって誘導した。この転移の機序として、炎症細胞、抗体産生、およびサイトカイン・ケモカインなどの作用を介して肺転移を制御している仕組みの存在が示唆された。加えて、修飾抗原やIL-27による抗腫瘍効果を分子・細胞レベルで検討した。浮遊細胞形成法を用いて扁平上皮癌細胞株から癌幹細胞(様)の亜集団(CD24陰性/CD44陽性)を純化した。PI-3キナーゼの抑制剤の処理により浮遊細胞形成が阻害され、活性化型Aktの導入により浮遊細胞形成やCD24陰性/CD44陽性細胞亜集団の割合が増加した。さらに、化学療法剤とPI-3キナーゼ阻害剤を併用することにより、扁平上皮癌細胞の増殖を効率よく抑制できた(論文投稿中)。以上より、CD24陰性/CD44陽性細胞は癌幹細胞(様)であり、PI3キナーゼ/Aktシグナル伝達経路がこの癌幹細胞の機能発現に関わっており、この経路を調節することによって腫瘍の発生・進展を制御することが可能になると期待できる。
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