研究課題/領域番号 |
24592846
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 健児 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (50130670)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯科用コーンビームCT / 被曝線量 / 面積線量 / 診断参考レベル |
研究概要 |
歯科用コーンビームCT(CBCT)の最適化を推進するためには、線量と画質の両面を評価する必要があり、早期の診断参考レベル(DRL)の設定が望まれる。そのために、医科用CTで用いられてきたCT線量指数(CTDI)、線量-長さ積(DLP)、および面積線量(DAP)などを測定してきた。 最近SEDENTEXCTの作業部会報告(2012年)では、CBCTの線量評価にはDAPが有用であるとされている。また、面積線量と患者実効線量を関連付ける変換係数を得ることによって面積線量から患者実効線量を推定できる。さらに、各装置の撮影頻度を調査することにより、地域や国レベルでのDRLを設定できる。そこで、CBCTの最適化の基礎となるCBCT線量データベースの構築のために各種線量の実測を行った。 平成24年度までに測定したCBCTに関するデータベースは次の通りである。メーカー7社、12機種、撮影条件数98である。撮影条件の範囲はFOV 40-200 mmφ、FOV高さ30-179 mm、管電圧60-120 kV、管電流2-16 mA、照射時間6.0-19.0 s、および回転角度は180と360度、などである。DAPは面積線量計(PTW-Freiburg社製Diamentor M4)あるいはRadcal社製の線量計(9015)とペンシル型電離箱(10X5-3CT)を用いて測定した。荷重CT線量指数(CTDIw)、DLP、空中CT線量指数(CTDIair)、空中線量-長さ積(DLPair)は上記線量計と電離箱を用いて実測したが、面積線量計単独の実測では、CTDIairとDLPairはDAPから導いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の研究計画では、複数の歯科用コーンビームCT(CBCT)装置の、①医科用CTで用いられてきたCT線量指数(CTDI)、線量-長さ積(DLP)、および面積線量(DAP)などを測定すること、および②CBCT用画像評価ファントムを作成することであった。 線量測定は、目標としていたCBCT装置の台数に若干及ばなかった。また、画像評価ファントムの作製については、設計、発注および業者側の製作工程の遅れによって、当該年度中に基礎的なファントムの性能評価も含めた実験ができなかった。 以上の理由により、24年度の達成度は「やや遅れている」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究計画は、①平成24年度と同様にできる限り仕様の異なる多くの歯科用コーンビームCT(CBCT)装置のCT線量指数(CTDI)、線量-長さ積(DLP)、および面積線量(DAP)などを引き続き測定すること、②線量に関するCBCT線量データベースを構築すること、および③CBCT用画像評価ファントムの有用性(つまり、すべてのCBCT装置に対する標準ファントムとして使用できるか否か)を確認することである。 ②のデータベースを構築するにあたって重要な事項は、データベース化するパラメータを決定することであり、候補として次の項目を検討して行く。 (1)製作会社、(2)装置名、(3)製作年、(4)センサータイプ、(5)焦点サイズ(mm)、(6)総濾過(mmAl)、(7)管電圧(kV)、(8)管電流(mA)、(9)整流方式、(10)HVL(mmAl)、(11)FOV(φ×hight、mm)、(12)ボクセルサイズ(mm)、(13)照射時間(sec)、(14)回転角度(degree)、(15)焦点-センサー間距離(mm)、(16)焦点-回転中心間距離(mm)、(17)拡大率、(18)実効検出領域(mm^2)、(19)センサー上でのビームサイズ(成人と子供、width×height、mm)、(20)センサー上での空気カーマ(成人と子供、mGy)、(21)DAP(成人と子供、mGycm^2)
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次年度の研究費の使用計画 |
できる限り仕様の異なる多くの歯科用コーンビームCT(CBCT)装置のCT線量指数(CTDI)、線量-長さ積(DLP)、および面積線量(DAP)などを引き続き測定するため、使用する線量計と電離箱の校正(線量計校正費)、およびCBCT設置場所に赴くこと(線量測定旅費)が必要となる。また、単独では困難な作業として、線量測定の補助(線量補助費)、およびデータベース作成とCBCT用画像評価ファントムによる画像データ処理(データ処理補助費)がある。 尚、次年度使用額が生じた理由は、線量測定に用いる線量計と電離箱が複数あるが、24年度に使用する線量計と電離箱の数が予定より少なかったため、線量計校正費が低くなったことによる。この費用は25年度に用いる線量計と電離箱は増えるため線量校正費に上乗せして用いる予定である。
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