研究課題
前年度まではパノラマX線写真上の下顎骨下縁皮質骨形態指標と骨粗鬆症診断歴およびそのアウトカムである骨折歴との関係について詳細な検討を行い、下顎骨下縁皮質骨形態指標は骨粗鬆症と診断されるリスクとは関連するが、骨折の発生リスクとは関連を有さないことが示された。本年度はパノラマX線写真で観察される総頚動脈石灰化所見と骨粗鬆症診断歴およびそのアウトカムである骨折歴との関係について検証を行った。松本歯科大学病院を2007~2013年に受診し、パノラマX線写真を撮影した40歳以上の患者2186名のうち、研究への参加に同意が得られた1021名(男性371名、女性650名)の患者のパノラマX線写真を用いた(学内倫理委員会承認済み)。これら対象者に対して、骨粗鬆症を初めとする種々の全身疾患や栄養摂取状況、生活習慣に関する質問を行った。パノラマX線写真で観察される総頚動脈石灰化所見は経験年数27年の歯科放射線専門医が評価した。骨粗鬆症診断歴(未骨折)および骨粗鬆症性骨折歴を各々独立変数として、年齢、性別、体格指数、喫煙歴、関節リウマチの有無、糖尿病の有無および現在歯数を共変量として、二項ロジステイック解析により、総頚動脈石灰化所見との関係を評価した。未骨折の骨粗鬆症診断歴を有する88名の被験者について、総頚動脈石灰化所見ありの被験者が骨粗鬆症診断歴を有するオッズ比は、なしの被験者比して1.84(95%信頼区間、1.06-3.17)であった。一方、骨粗鬆症性骨折歴を有する55名の被験者では、骨折と総頚動脈石灰化所見との関連は見られなかった。以上の解析より、パノラマX線写真における総頚動脈石灰化所見は未骨折の骨粗鬆症診断歴とは関係を有するが、骨粗鬆症性骨折歴とは関係を有さない可能性が示された。
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