研究課題/領域番号 |
24592850
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
田沼 順一 朝日大学, 歯学部, 教授 (20305139)
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研究分担者 |
永山 元彦 朝日大学, 歯学部, 准教授 (50298436)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 前癌病変 / 舌癌 / 腫瘍マーカー / 抗体作成 |
研究概要 |
口腔癌の前癌病変および境界病変における遺伝子変異と組織型との相関を明らかにし、病理組織診断の診断基準や予後の指標となる新たなマーカーを見出して、上皮異形成や上皮内癌など、外科医や病理医が日常苦慮する症例の客観的な診断基準を確立したい。 (1) 舌がんモデル動物を用いて、前癌病変に関連する遺伝子の選抜と機能解析を行う。 (2) 選抜された遺伝子(今回の研究は予備実験で見出した細胞増殖に関連するRNA結合タンパク質hnRNP K)による、前癌病変の病理組織や血清の腫瘍マーカーになる抗体の開発。 本研究計画は 様々な遺伝子プロファイル解析による、前癌病変に関連する遺伝子の検索し、舌癌モデル動物より作成した前癌状態の状態にあるラットや培養細胞を用いて遺伝子を直接導入して評価するスクリーニングを行い、ヒト培養細胞や病理組織に対する有用性を確認して、腫瘍マーカーの確立と抗体作成を実現化する。研究は3年間継続して、より優れた前癌病変に関連する遺伝子の検索を行う。また我々が既に有力な前癌病変の候補遺伝子とした、細胞増殖に関連するRNA結合タンパク質hnRNP Kを見出しているので、hnRNPK遺伝子に絞った研究を優先して、前癌病変に対する腫瘍マーカー作成を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
舌癌の前癌病変を規定する候補遺伝子:heterogeneous nuclear ribonucleic protein K (hnRNPK)の解析 遺伝子発現制御において、mRNAからタンパク質へと翻訳される過程はさまざまなRNA結合タンパク質によって制御されている。mRNAは核内で転写された後、hnRNPと呼ばれるRNA結合蛋白質の複合体を形成し、細胞質へ輸送される。hnRNPファミリーは10種類以上存在する。その中で我々が見出したhnRNP Kは、核内においてはクロマチンの修飾やスプライシング、細胞質においては翻訳やmRNAの安定性の制御、特に細胞のストレス応答や増殖制御に機能する。 1) hnRNPK関連のsiRNA(RNAi干渉)による発現解析:21塩基の科学合成2本鎖siRNA lincRNA-p21とhnRNPKの複合体がターゲット遺伝子の上流に作用して、クロマチン修飾により細胞増殖の発現に関与が知られているので、hnRNPKに関与するRNAの未知なる機能を検索が必要である。 2) 選抜された遺伝子hnRNPkを、ヒトの病理組織標本や培養細胞を用いて、免疫染色やISHによるタンパク質の発現解析を行い、遺伝子の有用性の確認。 モデル動物と同様にヒトの材料でも、病理組織像のhnRNPK発現やリアルタイムPCR解析を行う。細胞増殖マーカーki-67より、前癌病変では発現が極めてクリアな結果と予想される。ヒトの病理組織標本を用いた免疫染色(CK10, CK13, CK17, CK19, Ki-67)、レーザーマイクロダイセクションによる病変部組織の切除解析をして、腫瘍マーカーとなる抗体の開発へ移行する。 予備実験から見出した遺伝子(hnRNP K)の1つで、前癌病変の病理組織像やリアルタイムPCRの結果から、ki-67より有用な結果を示した。
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今後の研究の推進方策 |
前癌病変を規定する腫瘍マーカーの開発作成 ヒト口腔前癌組織と正常組織とのタンパク質メチル化レベル(リジンメチル化、アルギニンメチル化)を比較すると、前癌部は特定の分子のリジンメチル化・全体的なアルギニンメチル化が亢進しており、癌化に伴いタンパク質のメチル化の亢進が特定のタンパク質で起こり、hnRNPKメチル化タンパク質の検出が腫瘍マーカーとなる。つまり抗hnRNPK抗体を用いてその複合体を免疫沈降し抗メチルリジン抗体(MeK)、又は抗メチルアルギニン抗体(MeR)でウェスタンブロッティングを行うことで、複数hnRNPKが細胞内で分子複合体として存在しており、MeR化されたタンパク質及びMeK化された複数のタンパク質がhRNPKであることを検出することが可能となる。なおこの分野の先駆者である海外研究協力者Dr.Dragani TAと開発する。 以上より、hnRNPメチル化の免疫学的分析方法及び免疫学的分析試薬で、前癌病変を検出できる腫瘍マーカーの作成は実現化可能であることは、我々の研究室のメチル化の解析方法に関する業績は、過去の論文からも明らかである。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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