研究課題/領域番号 |
24592851
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
高山 英次 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70533446)
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研究分担者 |
近藤 信夫 朝日大学, 歯学部, 教授 (40202072)
川木 晴美 朝日大学, 歯学部, 講師 (70513670)
神谷 真子 朝日大学, 歯学部, 助教 (80181907)
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キーワード | 移植片対宿主病 / 間葉系幹細胞 |
研究概要 |
(1)マウスを用いた移植片対宿主病(GVHD)試験管内モデルとして、自己認識抗原(移植適合抗原)class I(H-2K)ハプロタイプがH-2KbのLy5.1接合C57BL/6系統を移植片提供者に、C3H/HeN系統(H-2Kk)を宿主に見立て、リンパ球をex vivoで混合培養をおこなった。そして、培養48時間後の培養上清中IFN-γ濃度をELISA解析法により調べた。このリンパ球の混合培養において、IFN-γ産生が誘導された。IFN-γはGVHDの病態に関与する。このリンパ球の混合培養は試験管内GVHDモデルとして有効であることが示された。 (2)上記(1)の試験管内GVHDモデルに、C57BL/6系統とC3H/HeN系統のいずれともH-2Kハプロタイプが異なるBALB/c系統(H-2Kd)脂肪組織由来の間葉系幹細胞(MSC)を加えた。BALB/c系統MSCによりIFN-γ産生は抑制された。一方、BALB/c系統由来の線維芽細胞株(BALB-3T3)によりIFN-γ産生は抑制されなかった。IFN-γ産生は、移植片提供動物とも宿主動物ともH-2Kハプロタイプが異なるBALB/c系統由来のMSCにより抑制された。ヒトGVHDにおいても、MSC提供者が移植片提供者とも宿主とも移植適合抗原(HLA)のハプロタイプが異なる場合でも有効である。本マウス試験管内GVHDモデルは、ヒトMSCによるGVHD抑制を模倣したモデルとして有効であることが示された。 (3)上記(1)の試験管内GVHDモデルに、C57BL/6系統とC3H/HeN系統の脂肪組織由来のMSCを加えた。C57BL/6系統C3H/HeN系統のいずれに由来するMSCも、BALB/c系統由来のMSC同様に、IFN-γ産生を抑制した。IFN-γ産生は、移植片提供動物または宿主動物とH-2Kハプロタイプが一致したMSCによっても抑制することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度はマウスGVHDモデルによる解析をおこない、平成25年度はヒト ex vivo GVHDモデルの解析に進める予定であった。しかし、ヒト臨床現場にいては、間葉系幹細胞によるGVHD抑制治療は、移植片提供者とも宿主とも自己認識抗原(移植適合抗原)のハプロタイプ遺伝子が異なる間葉系幹細胞を用いることとなる。そこで、移植片提供者とも宿主とも異なる人物から間葉系幹細胞の提供を受ける場合を想定したマウスモデルとして、C57BL/6系統、C3H/HeN系統、BALB/c系統の3系統のマウスを用いた実験系に拡張した。この実験系の拡張により、マウスGVHDモデルによる解析においては、より詳細な解析が進められているが、ヒト ex vivo GVHDモデルの解析は、ほとんど進められていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に順じて進める。
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