研究課題/領域番号 |
24592854
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
中野 芳朗 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (30360267)
|
研究分担者 |
玉置 知子 (橋本 知子) 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10172868)
岸本 裕充 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30291818)
野口 一馬 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (50309473)
|
キーワード | Gorlin症候群 / PTCH1 / KCOT |
研究概要 |
1.KCOTは、PTCH1の1コピーの異常がある細胞株と2コピーに異常のある細胞株の樹立に成功した。また新たにPTCH1に異常の見られない細胞株の樹立に成功した。この3株を比較することによりPTCH1遺伝子のKCOT発症における役割が解析できると期待される。またこの3株に関しては次世代シークエンサーを用いた解析を行い、PTCH2, SMO, SUFU, KIF7, GLI1, GLI2, GLI3 の変異は起こっていないことを確認した。 2.従来transfer時に多くの細胞が死ぬという難点があった細胞株であったが、培養条件に検討を加えることによりこの難点が克服され、扱いやすさが飛躍的に向上した。さらに樹立した細胞株のカルシウムによる分化誘導を試みた所、細胞の巨大化、及びマーカー遺伝子の発現の確認ができた。 3.Gorlin症候群患者由来細胞と非症候群由来患者由来細胞を用いて、DNA damage処理後のATR-Chk1/Chk2 pathwayの変化を、蛋白のリン酸化の変化及びそれらの細胞内局在を調べた。処理後2時間後ではGorlin症候群患者由来細胞は非症候群由来患者由来細胞と同様なリン酸化反応及び蛋白の局在を示し、特に特徴的なことは見られなかった。今後経時後の反応を調べる予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
metabolome解析をGorlin患者とその親族由来細胞を用いて行ったが、データのばらつきが見られ検討するのに時間がかかっているため遅れが生じた。一方KCOTは、PTCH1の1コピーの異常がある細胞株と2コピーに異常のある細胞株の樹立に成功し、カルシウムによる分化の誘導ができることが確認されたためこの細胞株の有用性が確認できた。また当初培養の難しかったこれらの細胞であるが、培養条件の検討により比較的簡単に増殖やtransferができるようになった。実験をする上で一つのネックとなっていた培養の困難さが解決できたことで今後実験がスムーズに行われるようになると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
1. 樹立したPTCH1遺伝子のコピー数の異なる細胞にPTCH1遺伝子を導入することによりこの細胞群がPTCH1依存的であるかを検討する。同様にHedgehog情報伝達系の阻害剤における感受性を調べる。 2.Hedgehog情報伝達系の「場」とされているprimary ciliaにおけるSmoothened蛋白の動態を正常細胞と比較する。 3.DNA damage処理2時間後の反応にはあまり差が見られなかったので、DNA damage処理後の細胞内での反応を経時的に調べる。特に今後はapotosis経路に注目して行う。 4.樹立した細胞株を用いてcystの形成をin vitro培養系で試みる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
抗体作製予定が延びたため。 primary ciliaを染められる抗体の作製費の一部に当てる。
|