研究課題/領域番号 |
24592855
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
湯浅 賢治 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (40136510)
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研究分担者 |
香川 豊宏 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (00258592)
三輪 邦弘 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10136509)
筑井 朋子(白石朋子) 福岡歯科大学, 歯学部, その他 (80580472)
谷口 邦久 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (90105685) [辞退]
小川 和久 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (90105726)
堀尾 千佳 福岡歯科大学, 歯学部, その他 (20636584)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超音波ドプラ法 / 舌癌 / 血管増生 / 悪性度 / 予後 |
研究実績の概要 |
舌癌19例の超音波ドプラ像における腫瘍進展部(invasion front)の血流所見を定量的に分析を行い、病理組織像における悪性度の程度および初診時のN分類、経過観察中の頸部リンパ節転移の出現や原発巣の再発との関連のついて分析を行った。 腫瘍進展部の血流所見の定量化については、腫瘍の増殖に伴う血管増生(angiogenesis)を考慮した以下の2つの指標を考案した。1)Blood flow signal area ratio(BAR):腫瘍進展部における腫瘍辺縁部を貫く血管の面積と腫瘍辺縁全長との比 2)Blood flow signal width ratio(BWR):腫瘍進展部における腫瘍辺縁部を貫く血管の腫瘍辺縁上での幅と腫瘍辺縁全長との比。病理組織像における悪性度の程度の指標とした山本-小浜の分類(Y-K分類)を用い、悪性度の高いYK分類の4c,4DとYK分類2,3とに分けて比較を行った。また、超音波ドプラ像からノイズを除去し真の血流像を抽出する方法も確立した。 病理組織所見で悪性度の高い患者(YK分類4C,4D)のBWRは、悪性度の低い患者(YK分類2,3)のBWRより有意に大きかった。頸部リンパ節転移や原発巣の再発を来した患者のBARおよびBWRは、頸部リンパ節転移や原発巣の再発がなかった患者のBARおよびBWRより有意に大きかった。頸部リンパ節転移の出現および原発巣の再発をBARおよびBWRから推測する診断能は、以下の如くであった。BAR:敏感度100%、特異度84.6%、BWR:敏感度100%、特異度61.5%。これらの結果よりBARおよびBWRは舌癌を有する患者の予後を予測する有用な指標であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
舌癌の超音波ドプラ像の定量分析を行うことにより舌癌の予後や病理組織学的悪性度を予測および診断する基準については、当初の目標を達成できたと考える。ここで考案した超音波ドプラ像における血管分布の定量化の手法は他の口腔癌にも応用でき、おおむね研究は順調に進んでいると考える。ただ、腫瘍の病理学的悪性度の指標を山本-小浜の分類としたが、国際的に用いられている癌細胞が散在性に間質内に浸潤する形態から悪性度を推定するbuddingについても分析をする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの達成度にも記載したが、病理組織学的悪性度の指標として近年、国際的に用いられている癌細胞が散在性に間質内に浸潤する形態から悪性度を推定するbuddingについても分析をする必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
口腔癌の病理組織的悪性度の指標である山本-小浜の分類(YK分類)を超音波ドプラ画像から予測する診断基準を作成する目的で本研究を行い、予測可能であるとの結果を得た。しかし、新たな知見として大腸癌の悪性度の国際的な病理組織的指標であるbuddingが口腔癌においても有用との報告がなされてきた。そこで、buddingとの相関の分析を追加したため、データ整理や英語論文の校正費用、他の研究者との打ち合わせ費用等の未使用が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
YK分類との関連に加えて、大腸癌の悪性度の病理組織的指標であるbuddingとの相関分析のためのデータ整理や本研究成果の英語論文の校正費用および論文作成を行う上での他の研究者からの助言や研究打ち合わせの費用として使用する予定である。
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