研究課題
近年、MIの理念のもと、必要最小限の歯質削除によるう蝕治療が臨床では主流になっている。研究初期においては、4-META/MMA-TBB系ボンディング材が象牙質に対し、優れた接合状態を示すことを報告し臨床にも応用してきた。このボンディング材の25 年間にわたる臨床成績を追跡調査するとともに、窩縁部エナメル質との接合状態をレプリカSEM観察した結果、修復直後より臨床的不快症状は発現しなかったが、歯頚部窩洞において、脱落までに要した日数は、エナメル象牙質マージン窩洞で平均2758日、エナメル質マージン窩洞で3385日であった。辺縁部をレプリカSEM 観察すると、時間が経過するに従い、マージン部に大きなU字型の溝が形成されていた。その後開発され市販されたセルフエッチングプライマーを使用したボンディングシステムにおいては、ほとんどの製品において、象牙質に対しては十分に満足できる接着強さと接合状態が得られている。このボンディングシステムにおいては、脱落に要する日数は延長され、現在観察中の多くの症例において、すでに4-META/MMA-TBB系ボンディング材の脱落までの平均日数をオーバーし、口腔内に残存し、ほとんど問題なく機能している。修復直後より経時的にエナメル質窩縁部 をレプリカSEM観察すると、マージン部にボンディング材層が露出した場合には、早期にこの部分から摩耗が起こり、ステップが生じると共に、レジンの破折や摩耗が進行し、大きなステップが生じるようになった。また、窩縁隅角が大きい症例では、レジンの破折が多く見られ、マージン部にボンディング材の厚い層が見られる場合には、早期にこの部の摩耗やレジンの破折、ステップ幅の拡大が見られた。エナメル質に、リン酸処理を併用した場合には、接合状態に改善が見られ、ステップやレジンの破折の出現時期が遅くなる傾向が見られた。
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