研究概要 |
本研究は歯髄血流測定専用のレーザードップラー血流計を試作し、血流測定の歯髄診断への応用の可能性を探ることである。平成24年度には、専用の周波数解析装置を用いて、歯髄血流によって生じるレーザードップラー周波数シフトを詳細に解析した結果、歯髄では周波数シフトが5kHz程度までであり、解析域を5KHz程度とした低流速測定血流計が歯髄血流測定に有用であることを考察した。 本年度(平成25年度)は、低速の血流のみを測定対象とする試作レーザードップラー血流計と市販のレーザードップラー血流計とを用いてヒト歯髄血流を同時測定した結果、試作血流計がすべての歯から脈波を確認し、有意に大きな信号が得られた。以上の成果は国際学術雑誌に投稿掲載済みである(Xiaofu Qu, Motohide Ikawa, Hidetoshi Shimauchi, Improvement of the detection of human pulpal blood flow using a laser Doppler flowmeter modified for low flow velocity. Archives of Oral Biology Volume 59, Issue 2, February 2014, Pages 199-206) さらに、歯髄血流によって生じるドップラーシフトのパワースペクトラム解析と血流信号の同時表示を行い、かつドップラーシフトの解析周波数帯域が可変であるといった仕様の歯髄専用血流計を試作し、その有用性を検証した結果、解析する信号のサンプリング時間が20ms以下に短縮することで、明瞭な信号の抽出が可能になることを明らかにし、現在も検出性能の向上に取り組み続けている。
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