研究課題/領域番号 |
24592865
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山田 朋美 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (70452448)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 歯科騒音 / 骨導音 / 気導音 |
研究概要 |
患者の不快感を効果的に軽減させる歯科騒音低減デバイスの新規開発をめざし、今年度、年齢層による不快感の差異を詳細に検討することを目的として、高周波純音の知覚閾値の測定とタービン音を用いた心理評価実験を行った。 これまでに18歳未満の高周波聴力調査の報告は見当たらないため、中高生90名を含む152名の幅広い年齢層を対象として16キロヘルツまでの高周波聴力閾値詳細に検討した。純音聴力測定は関連した国際規格(IEC60645およびISO389)に準拠し、従来の聴力検査周波数(125~8,000 ヘルツ)に加えて高周波聴力検査(8~16キロヘルツ)を適用したオージオメータを用いた。その結果、12歳から70代までの広い年代の16kHzまでの聴覚レベルを明らかとした。若年者の高周波聴覚閾値は非常に小さく、年齢があがるにつれて閾値が大きく変化した。 さらに、聴力の違いによる歯科タービン音の心理的な影響について印象評価実験を用いて検討した。歯科タービン音は、大阪大学歯学部附属病院においてヘッド部より30 cmの位置に設置したマイクロホンおよび騒音計を介して収録した後、音響編集ソフトにて周波数成分や音圧レベルの減衰などの編集を行って作成した。被験者は、ヘッドホンより呈示される歯科タービン音を聴取し、音の印象をSD法により評価した。高周波まで知覚できる若年者は、50代以上の大人よりも、歯科タービン音を、より騒々しく、甲高く、大きな、嫌な音として認知していることが明らかとなり、高周波域の聴力の違いが歯科ドリルの印象に影響を与えていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画は高周波知覚レベルの検討および切削音の不快感に関する周波数帯域の検討であった。今年度、国際規格に準じた機器を用いて高周波聴力測定を行い、さらに、歯科タービン音の不快感に関する心理評価実験を実施していることから、おおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度においては、骨導における骨内伝播波動の特性を解明していく。そのためにボランティアにより仮歯の切削時に伝達される骨導音測定をすすめる。本手法により被験者の歯を切削することなく、一定条件での提示・測定が可能となる。また、実際にカリエス治療やエアスケーラを用いた治療が必要な患者を対象として、十分な説明と同意を得たうえで、骨導音の計測を行っていく予定である。今後引き続き、これらの測定値と知覚レベルとの関係を解明し不快感低減に効果のあるマスカーを選定しマスキングレベルを測定していく予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
マスカーを用いたマスキングの心理評価などには一定の静かな測定環境が必要となる。実験に必要な防音室の購入費は高額なため、研究費を有効に使用するためにレンタルするためのレンタル費としている。本研究で得られる研究成果は国内外で発表を予定するとともに国際学術雑誌に投稿し世界に発信する予定であり、成果発表費用および投稿費として使用する予定である。
|