研究課題/領域番号 |
24592866
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大原 直子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80301365)
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研究分担者 |
吉山 昌宏 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10201071)
大原 直也 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70223930)
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キーワード | 根面う蝕 / う蝕誘発モデル / う蝕細菌 |
研究概要 |
本研究は、根面う蝕の進行機構の解明および試験管内における根面う蝕誘発モデルの確立を目的としている。根面う蝕ではActinomyces属が優占種であるとされているものの、個々の菌種と根面う蝕の病態との関連については、明確な回答が得られていない。本年度は、Actinomyces naeslundii、 A. israelii、 A. viscosusを中心に、歯根象牙質う蝕形成能について検討を行った。 各菌は、BHI培地にて37℃嫌気培養し使用した。解剖学的歯頸部に近い歯根象牙質隣接面部に平坦面を作製し、う蝕誘発実験を行った。具体的には、調整した菌液に被験歯を浸漬し、タイプIVコラゲナーゼおよびスクロースを添加、37℃嫌気条件で反応させた。その後、象牙質への細菌侵入を観察、評価した。 いずれの菌種においても、歯根象牙細管内へ侵入している像が観察されが、侵入は一部の象牙細管に限定的であった。また、歯根表面にバイオフィルムを形成するが、その付着力は弱く、剥がれやすいものであった。菌種の比較では、細菌侵入の深さや象牙細管の拡張の程度における明らかではなく、いずれにおいても歯根表面の崩壊は認められなかった。 Actinomyces属は、バイオフィルムの形成能が弱くう蝕原性が低いことが示された。歯質表面に定着・凝集し強固に付着するためには、複数種の細菌が必要であることが予測された。また、象牙細管への細菌侵入を増大させるには、外力による積極的な誘導が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に得られた、人工う蝕誘発に有効なスクロースやコラゲナーゼの添加条件をもとに、本年度はActinomyces属における根面う蝕の誘発および進行について検討をおこなった。Actinomyces属単独ではう蝕形成能が低いことが明らかとなり、人工的根面う蝕作製への基礎的データとなった。
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今後の研究の推進方策 |
根面う蝕誘発モデル作成にあたり、Actinomyces属のプロテアーゼ産生能を検討する。さらに、酸産生能および耐酸性の高い細菌を組み合わせることで、う蝕誘発能を増大させる。菌種による象牙細管侵入度や破壊の程度を詳細に検討し、根面う蝕進行のメカニズムを解明する。
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