研究概要 |
平成24年度の研究目的である免疫賦活因子の検索とその機能の解析および初期化因子の検索探求に基づき,免疫反応の初発システムである炎症反応誘導に関与する炎症性サイトカイン(IL-1α,IL-6,TNF-αなど)をヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSCs)に用いてコントロールとの機能比較解析を行い,細胞のエピジェネティックプロファイルの初期化,すなわちES細胞の細胞分化制御領域(bivalent domain)の初期化因子を検索探求を行った. 材料と方法については,第5継代hMSCを実験に用いた.代表的免疫開始因子としてIL-1,IL-6,TNFαを,培地としてDMEM+10%FBS+1%ペニシリンストレプトマイシンを用い,Dishにて培養し, 開始因子を加えないコントロール群と比較して,1W,2W,3W経過時のマーカー遺伝子発現の比較分析をリアルタイムPCR法を用いて行った.遺伝子発現の定量分析にはThermal Cycler Dice Real Time System(TaKaRa)を用いて行った. その結果,試験全能性賦活因子群ではコントロール群と比較して,全能性マーカー遺伝子が高度に発現し,hMSCsのプロファイル初期化に有用であることが示唆された. この結果・結論より,ES細胞の初期化が可能になれば,cellular shuttlingの概念に基づき,生体が本来備えている自然治癒力,自然再生力の賦活因子により,骨髄間葉系幹細胞を全能性/胚性幹細胞に誘導し,象牙質・エナメル質複合体の再生のみならず,歯の再生までも可能になりその意義は絶大である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度計画目標であるヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSCs)の初期化因子探索については,免疫に関与するサイトカインからIL1α,IL6,TNF-αを選別し, リアルタイムPCR法を用いて全能性関連遺伝子の発現を比較した結果、コントロール群と比較して全能性マーカー遺伝子が高度に発現し,初期化因子として有望との結果が出た.これは,次年度の計画の前段階の目標を達成しており,おおむね順調に研究目的が達成されたと考える.
|