研究課題
本研究では、骨・皮膚・網膜などにおいて高い創傷治癒効果を発起するWntシグナリングの歯髄組織への効果を検討し、Wntシグナリングに焦点を当てた高い組織修復能を持つ覆髄材の開発を最終目的とした基礎研究を行う。受傷時には内在性Wntシグナリングが活性化されるが、この活性化が延長されることが知られている遺伝子改変マウス(Axin2欠損マウス)を用いた予備実験において、実験的露髄面周囲に骨・象牙質様組織が積極的に誘導される結果が得られている。この結果から、歯髄組織が高いWntシグナリング反応性を持つことが示唆される。本研究では、この遺伝子欠損マウスを用いた実験を進め、歯髄組織が如何にしてWntに反応し創傷治癒機転を促進させるのかを解明する。更に、ラットにおける実験的露髄歯に高活性リポソーム結合リコンビナントWntタンパクを投与し、その覆髄効果を解析し将来的な臨床応用への可能性を検討することを目的としている。現在、平成24年の到達目標である、Axin2欠損マウスを用いた解析が概ね終了している。またラット実験的露髄面の作製に現在取りかかり始める状況である。これはラットの臼歯を実験的に露髄させ、その創面にWntを充填し、その覆髄効果を検討するものである。
2: おおむね順調に進展している
平成24年の到達目標である、Axin2欠損マウスの解析がおおむね終了しており、さらに平成25年および26年の2年間に渡る到達目標である、「ラット実験的露髄面の作製」にも取りかかっていることから、各年度の当初到達目標をほぼ達成する形で実験を進められている。
ヘマトキシリン・エオシン染色による形態学的評価の完了並びに免疫組織学的評価、新生硬組織の定量はこの年度に行う。ラット露髄面に被蓋硬組織が得られた場合は、マウスと同様にそれが骨であるのかをDentin sialoproteinおよびDentin protein-1に対する特異抗体を用いた免疫染色で検討する。また、修復象牙質は免疫組織学的に骨様であることが多く、石灰が程度は原生象牙質に比較し高くないと考えられているため、マイクロCTを用い、形成された新生硬組織量を定量すると共にその石灰化度も計測する。実験結果がまとまった段階で論文を作製し投稿準備に入る。
研究遂行が順調であったため、今年度に前倒し請求を行い更なる実験を行った。前倒し請求分に未使用分が残っていることから、次年度使用額が生じた。ヘマトキシリン・エオシン染色による形態学的評価の完了並びに免疫組織学的評価、新生硬組織の定量はこの年度に行う。ラット露髄面に被蓋硬組織が得られた場合は、マウスと同様にそれが骨であるのかをDentin sialoproteinおよびDentin protein-1に対する特異抗体を用いた免疫染色で検討する。また、修復象牙質は免疫組織学的に骨様であることが多く、石灰が程度は原生象牙質に比較し高くないと考えられているため、マイクロCTを用い、形成された新生硬組織量を定量すると共にその石灰化度も計測する。実験結果がまとまった段階で論文を作製し投稿準備に入る。
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Nephrol Dial Transplant.
巻: 29 ページ: 611-8
10.1093