局所に炎症が起こると様々なサイトカインや増殖因子が分泌され創傷治癒を誘導する。その中で、Wntタンパク質は皮膚などの創傷治癒促進因子の一つである。本研究では、炎症惹起後Wnt依存性シグナルが長期に継続する遺伝子改変マウス臼歯に実験的露髄面を作成し歯髄組織に炎症を惹起し、歯髄組織の創傷治癒におけるWntシグナルの重要性について検討した。遺伝子改変マウス群ではコントロール群と比較して歯髄組織の創傷治癒が促進し、形態学的に骨様であり免疫組織学的には象牙質様の新生象牙質の形成が認められた。これら結果より、内在性Wntシグナルの増強は歯髄組織の治癒を促進させる新たな治療法開発につながる可能性がある。
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