研究実績の概要 |
本研究は歯髄炎の病態成立における生体防御機構において、象牙芽細胞を主役とした自然免疫機構を解明しようとするものである。 ラット由来の株化細胞で象牙芽細胞の特性を有したKN-3細胞を使用し、Pattern Recognition Receptor(PRR)特異的リガンド(TLR-2; Pam3CSK4, TLR-4; E. coli LPS)あるいは炎症性サイトカイン(IL-1β, TNF-α, IFN-γ)にて一定時間刺激した。刺激を受けたKN-3細胞における培養上清中へのAlarmin(HMGB1)の産生・放出をWestern blot法にて解析した。その結果、各刺激物質により刺激後24時間で培養上清中にHMGB1の放出が認められた。また、このHMGB1の放出をELISA法にて定量したところ、HMGB1の放出は全ての刺激物質において認められたが、コントロールと比較して各刺激物質との間に有意差は認められなかった。しかしながらカテキン(EGCG)を添加することによってこれらのHMGB1放出は抑制された。 また、KN-3におけるPRRの発現をFACSにて解析したところ、細胞内レセプターであるNOD1およびNOD2の発現を認めた。しかしながらTLR-2, TLR-4の発現はほとんど認められなかった。次にこれらのレセプターのリガンドやTNF-αでKN-3を刺激し培養上清を回収し抗体アレイ法やELISA法にて解析したところ、TNF-αやNOD1リガンドであるiE-DAP刺激において培養上清中のMCP-1, CCL20, CXCL3濃度の上昇が認められた。また、各リガンドで刺激したKN-3からtotal RNAを回収しreal-time PCR法にて解析したところ、iE-DAP刺激において上記サイトカインのmRNA発現の増加が認められた。
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