研究課題/領域番号 |
24592872
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
湯本 浩通 徳島大学, 大学病院, 講師 (60284303)
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研究分担者 |
松尾 敬志 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30173800)
尾崎 和美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90214121)
中西 正 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00217770)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 歯学 / 感染症 / 細菌 / 遺伝子 / 糖鎖 / バイオフィルム |
研究実績の概要 |
1. S. intermedius (Si) ATCC27335からCloningしたHistome-like DNA binding protein (Si-hlp) 遺伝子配列から構造予測を行った後,表層に露出する16―merのペプチド配列を免疫して得られた抗Si-HLP抗体を用いて、Si ATCC27335 Biofilmの免疫電子顕微鏡観察と蛍光顕微鏡観察を行ったところ、biofilmにSi-HLPが多量に存在し、さらに細菌が菌体外に分泌する extracellular vesicle (eV)外表面に抗Si-HLP抗体が反応した事から、Si-HLPのRKクラスターを有するArm regionがeV外表面に突出している事やHLPはVesicleにより菌体外へ分泌される可能性が示唆された。 2. Si-HLPの糖鎖結合能を糖鎖固定化アレイを用いて解析を行ったところ、Si-HLPのレセプターは、ヘパリンやヘパラン硫酸等であり、特にeSi-HLPとヘパリンとの結合には、GlcNH2の2位アミノ基の硫酸化が必須である事が示唆された。さらに、Siは、1.0 mg/ml以上のヘパラン硫酸に顕著に結合し、抗Si-HLP抗体で前処理すると、Si菌体は、1.0 mg/ml以上のヘパラン硫酸にも結合しなかった事から、Si菌体のヘパラン硫酸への特異的な結合には、Si-HLPが関与し、特にheparin-binding consensus sequenceであるArm regionが重要である事が示唆された。 3. 抗Si-HLP抗体を用いて細菌表層の反応性を蛍光顕微鏡観察ならびにELISAにて解析を行うと、S. mutans ATCC25175は、Si ATCC27335と同様のepitope配列を有するHLPを保有しているにもかかわらず、抗Si-HLP抗体とは反応しなかった。 以上の結果から、HLPの細菌内や菌体外での発現局在には、菌種により差があり、eV等を利用した菌体外への分泌機構も影響を与えている可能性が示唆された。また、誤嚥性肺炎患者の咽頭細菌叢中にも多くのeVが観察される事等から、口腔Biofilm由来HLPのVesicleを介した分泌機構とその結合特異性が、誤嚥性肺炎等の病原性に関与している可能性も示唆された。
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