研究課題/領域番号 |
24592875
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山田 志津香 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00363458)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フィッシュコラーゲンペプチド / コラーゲン翻訳後修飾 / 骨芽細胞 / 石灰化 / ウェスタンブロット分析 |
研究概要 |
以前の研究により、ヒト由来骨芽細胞であるNOS-1細胞を用いて、フィッシュコラーゲンペプチド(FCP)を総濃度0.1%となるように培地に溶解し作用させるとアルカリフォスファターゼ活性ならびにオステオカルシン(OC)、BMP-2、オステオポンチン(OP)、インテグリンβ3(ITG)の遺伝子発現が増加することが明らかとなった。今回は、FCPによるこれら4つのタンパクの発現の影響を検討するために、ウェスタンブロット分析を行い、Scion Image softwareを用いてFCP不含培地で培養した対照群との発現比を定量化した。培養3日目におけるOC、BMP-2、OP、ITGの発現比はそれぞれ、0.9、1.34、0.98、1.30だった。培養7日目における上記タンパクの発現比は、それぞれ1.45、0.28、1.40、1.20だった。BMP-2の発現が7日目で減少したのは3日目の発現が大きく増加しネガティブフィードバック機構が働いたためと思われる。また、マウス前骨芽細胞系であるMC3T3-E1細胞を用いてFCPのコラーゲン翻訳後修飾関連酵素に関する影響を調査したところ、0.2%FCP含有培地で、有意なリシルヒドロキシラーゼ2の遺伝子発現、コラーゲン合成量、コラーゲン架橋の成熟を確認した。von Kossa染色では、対照群と比較してFCP群が有意に高い石灰化塊の沈着を認めた。コラーゲンは石灰化において三次元的テンプレートとなる。FCPによりコラーゲンの質が向上し、石灰化物沈着に適した環境が整えられた結果、石灰化が促進されたと考えられる。これらのことから、FCPは骨芽細胞系にポジティブな影響を及ぼし、骨再生における生体材料として有用である可能性が示唆された。これらの結果はDental Materials Journalの2013年発行32巻1・2号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FCPの骨芽細胞培養システムにおけるコラーゲン翻訳後修飾関連酵素の上方制御ならびに石灰化促進効果をまとめ、論文発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
FCPが骨芽細胞において、コラーゲンの合成・架橋にポジティブな影響を及ぼすことが判明した。今後は、骨芽細胞に影響を及ぼしているFCPの分子量ならびにアミノ酸塩基を解明する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
FCPを分子量別に分取するためにMolecular sieve chromatographyを用いる。そのために必要なカラムを購入する予定である。
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