研究課題/領域番号 |
24592878
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
伊藤 修一 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (50382495)
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研究分担者 |
橋本 正則 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (00337164)
飯嶋 雅弘 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20305915)
斎藤 隆史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40265070)
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キーワード | 象牙質石灰化 / バイオアクティブ材料 |
研究概要 |
新規接着性モノマー含有試作ボンディング材を用いた象牙質接着界面の超微小硬さの測定.象牙質内に3×3×1mmの窩洞形成を行い,その後24時間乳酸を用いて窩洞内を脱灰した.その後, 再石灰化誘導能を有する接着性モノマーを用いた試作ボンディング材を用いてコンポジットレジンを充填した.これらの試料を超微小押し込み試験機,ENT-1100(Elonix)を用いて,象牙質・樹脂含浸層・アドヒーシブレジンの移行部の硬さ,弾性率の測定を行った. 接着界面より深さ3μm以降ではコントロール群,試作ボンディング群共に硬さに有意差は認められなかった.接着界面より深さ1μmの部位での硬さは,コントロール群と比較して試作ボンディング群が有意に硬いことが測定された(p<0.05). 弾性率の測定において全領域でコントロール群と試作ボンディング群,共に有意差は認められなかった(p<0.05). 微小引張り試験の測定. 試作ボンディング材を用いて微小引張り接着強さの測定を行った.その結果,試作ボンディング材における接着強さは, 24時間後において41.8MPa であり,コントロール群では30.9MPaであった.試作ボンディング材群が有意に高い値を示した(p<0.05). 象牙質接着界面及び破断面の観察. 接着界面の観察においては, 試作ボンディング材群,コントロール群ともに良好な接着状態が観察された. 微小引張り試験後の破断面の観察において, 試作ボンディング材群は, コントロール群より多くのコンポジットレジン内での凝集破壊が観察された.これらのことからも,CMET-HCがHCよりも象牙質に対して良好に接着することが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的の大きな3つの柱である,新規接着性モノマー含有試作ボンディング材を用いた象牙質接着界面の超微小硬さの測定,微小引張り試験の測定及び象牙質接着界面及び破断面の観察について概ね,実験計画通り達成することができた.また,これらの結果は,複数の学会発表を行い,論文投稿の準備中である.一部は,伊藤修一, 斎藤隆史: イラストで語る歯科医学最前線. 14 象牙質再石灰化. クインテッセンス出版, 2013.において報告した.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の結果より,本研究における当初の目的である,象牙質再石灰化誘導能を有するバイオアクティブ材料の開発において基礎的なデータを得ることができた.この結果を踏まえて,研究を推進していきたいと考えている.試作ボンディングを用いた長期浸漬における測定を行う.実際には,長期の石灰化溶液を用いた生理学的圧力下での実験系において24h,3ヶ月,6ヶ月,12ヶ月浸漬後の試料を用いて,象牙質接着界面の超微小硬さの測定,微小引張り強さの測定,SEM, TEM観察を行う.これにより,長期の接着界面の評価を行う. これらの研究を行うことにより,当初の目的を推進していきたいと考えている .また,平成24,25年度で行う事ができなかった,接着性モノマーを合成する際に,末端のカルシウムに変わり,Mg, Zn, Sr, Na, K etc.などとの合成を行い,それぞれのモノマーの作用を明らかにしたいと考えている.また,象牙質のコラーゲンの加水分解への影響を評価するための実験の確立を現在行っている.それらを用いる事により長期耐久性の評価も行っていきたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24,年度で行う事ができなかった接着性モノマーを合成する際に,末端のカルシウムに変わり,Mg, Zn, Sr, Na, K etc.などとの合成を試みたが,それぞれの合成物を得る事ができなかった.そのため、それぞれのモノマーの作用を明らかにする実験を進めることができなかったため,その後の実験に必要となる, 器具、消耗品を購入しなかったため,次年度使用額が発生した. 本年度は, 新たな手法を用いて新たな接着性モノマーの合成をしたいと考えている.そのための器具・器材・消耗品が必要となってくる.また,象牙質のコラーゲンの加水分解への影響を評価するための実験の確立を現在行っておりそれらを用いる事により長期耐久性の評価も行っていきたいと考えている.そのための器具・器材・消耗品が必要となってくる.
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