研究実績の概要 |
新規接着性モノマー含有試作ボンディング材の長期浸漬による評価を行った. CMETを1.5%配合したシーリング・コート材(以下CMET-HC)を試作した. 象牙質面に対しHCおよびCMET-HCを象牙質に歯面処理を行い,試験用接着試料を作製した. 37℃水中保管24時間後,3ヶ月,6ヶ月および2年後に万能試験機を用いて微小引張接着強さの測定を行った.その結果, HC群とCMET-HC群との間で24時間後,6ヶ月後,2年後において有意差が認められ,CMET-HC群が有意に高い値を示した(p<0.05).また,微小引張り試験後の試料はSEMを用いて破断面の観察を行った.また,同様に象牙質に接着させた試料を用いて,接着界面の長期浸漬による評価を行った.その結果,HCの観察SEMにおいて,24時間後は良好な接合状態が確認された.しかしながら,3,6ヶ月および2年後では接着界面付近での亀裂が多く認められた.CMET-HCにおいては,24時間後,3ヶ月後,6ヶ月後で良好な接合状態が確認された.しかしながら,2年後では接着界面付近での亀裂が認められた.微小引張試験後の破断面の観察において,HC,CMET-HC共に複数の破壊様式の混在した混合破壊が最も多く観察された.界面破壊数は,6ヶ月,2年後において,CMET-HCは界面破壊数がHCと比較して少ないことが観察された.また,コンポジットレジン内での凝集破壊は,CMET-HCはHCより多くのコンポジットレジン内での凝集破壊が観察された.これらのことからも,CMET-HCがHCよりも象牙質に対して,長期浸漬においても良好に接着することが示された.
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