研究実績の概要 |
まず、歯科治療用電子機器がペースメーカー(PM)、歯科用電気機器が植込み型除細動器(ICD)に与える影響をIrnich人体ファントムの水槽内に通電させ電磁干渉を測定した。使用した歯科用機器は、電気的根管長測定器(3種)、高周波メス(1種)、超音波器具(2種)である。その結果、高周波メスではICD、PMのいずれにも電磁干渉が認められた。その他の機器については明らかな電磁干渉は認められなかった。ICD、ペースメーカー装着者に対して高周波メスを使用するべきではないことが明らかとなった。この結果については第143回日本歯科保存学会にて報告する。 次に、電気的根管長測定(EMR)と根管内超音波洗浄時(US)の不整脈惹起作用について,多チャンネル高分解能心電計(ドリームECG)にて検討した.USならびにEMRの使用が必要なPM装着者1名,ICD装着者1名を対象とした.治療前に循環器内科専門医と歯科麻酔専門医による問診を行ない,ドリーム ECG を装着して治療中の循環器動態を測定した. 治療には循環器内科専門医と歯科麻酔専門医が立ち会い,不測事項発生時への充分な対応をした. いずれの症例でも根管治療中にEMRならびにUSを使用した.ドリームECGで,致死的不整脈,脱分極指標および再分極指標で異常を認めなかった.PMあるいはICD装着患者において,十分な問診,歯科治療時の適切な循環動態の把握により,US,EMRを用いた場合でも安全な歯科治療遂行の可能性が示唆された.また,歯科治療中の循環動態の把握にドリームECGが有効であると思われた.これらは、第141回日本歯科保存学会(山形)にて報告し、現在日本歯科保存学会雑誌に投稿(査読)中である。 今回の研究成果を踏まえて、心臓植え込み型装置者に対する歯科治療のIN VIVOでの安全性を27~29年度科学研究補助金にて明らかにする。
|