研究課題/領域番号 |
24592882
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
長谷川 篤司 昭和大学, 歯学部, 教授 (10180861)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | う蝕罹患歯質 / 励起蛍光 / う蝕除去 / LD |
研究概要 |
従来のう蝕染色液による罹患歯質の識別には染色と水洗、乾燥を繰り返し行うため、臨床操作が煩雑であるだけでなく、染色範囲が必ずしもう蝕原因菌の拡大範囲と一致しないことが危惧される。一方、非接触型う蝕診断システムでは波長約400nmの光線が健全象牙質を緑色に、う蝕象牙質内のう蝕細菌の産生産物を赤色に蛍光させることを利用して初期う蝕を定量的に認識・管理することを可能にしている。 そこで本研究では、ハンドピース先端から波長約400nmの光線を照出し、赤く蛍光するう蝕罹患歯質を識別しながら除去しうる切削システムを試作、開発を目的とした。 初年度は、う蝕罹患象牙質と健全象牙質を判別する至適な励起光波長は予備実験を基に405nmと決定し、至適な励起光波長を照出できる試作う蝕象牙質除去装置を製作するための光源および出力を様々に組み合わせた。 まず、LED光源を装備する試作う蝕象牙質除去装置プロトタイプ機を製作し、顎模型にう蝕のある抜去歯を装着してう蝕罹患歯質を除去しながら、励起蛍光を最も視認しやすい光源出力であるかを検討した。結果として、現状入手できる範囲では十分な出力を得られるLED光源が見つからないことが明らかとなった。 次いで、LD(レーザーダイオード)光源を用いて同様の検討を行った。すると、波長405nmのLDを80mW付近の出力で照出すると、実用的なう蝕罹患歯質認識効果を確認することができることを確認することができた。 以上より、初年度にはこれら所見を基に試作う蝕象牙質除去装置1号機を完成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
う蝕罹患象牙質と健全象牙質を判別する至適な励起光波長は予備実験を基に405nmと決定した。 至適な励起光波長を照出できる試作う蝕象牙質除去装置を製作するために、光源および出力を様々に組み合わせた。まず、LED光源を装備する試作う蝕象牙質除去装置プロトタイプ機を製作し、顎模型にう蝕のある抜去歯を装着してでう蝕罹患歯質を除去しながら、励起蛍光を最も視認しやすい光源出力であるかを検討した。結果として、現状では十分な出力を得られるLED光源が見つからないことが明らかとなった。 次いで、LD(レーザーダイオード)光源を用いて同様の検討を行った。すると、波長405nmのLDを80mW付近の出力で照出すると、実用的なう蝕罹患歯質認識効果を確認することができることを確認することができた。この所見を基に試作う蝕象牙質除去装置1号機を完成することができた。 やや遅れていると評価した理由として、①試作2号機の光源について継続的に検討中のため完成に至っていないこと。②2号機の光源が確定してからコントラハンドピースを装備する仕様の3号機を完成する予定であること。が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
試作う蝕象牙質除去装置1号機はLDを搭載することも含め、頻度高く使用するにあたり術者の目への負担を軽減することが重要である。 まず、ゴーグル型光学フィルターの試作開発を行う。非常に困難な検討課題ではあるが、市販ゴーグルの検討から初める予定である。透過光線の波長分布が確定できれば、特注の干渉フィルターの製作を行う予定である。 光学フィルターの開発により、不要な波長の光線が吸収されれば、術者が目に負担を感じない範囲で試作システムの照射実効出力を増加させることが可能となるとともに、励起蛍光を発しているう蝕象牙質の視認性(健全象牙質との識別)を向上することも期待できると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き、試作う蝕象牙質除去装置2号機、3号機の製作するための検討を続ける(本年度からの繰り越し約180万円)が、ゴーグル型光学フィルターの試作開発も平行して行う。フィルターにより術者の目への負担を減弱することが第1の目的であるが、フィルターによって励起蛍光の識別性が向上されることがあれば、より出力の弱い光源(例えば現状のLED)を光源とできる可能性もあるのではないかと期待している。
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