研究課題/領域番号 |
24592882
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
長谷川 篤司 昭和大学, 歯学部, 教授 (10180861)
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キーワード | う蝕罹患歯質 / 励起蛍光 / LD光源 / LED光源 / 超音波振動機 / 回転切削器具 |
研究概要 |
平成24年度はう蝕罹患象牙質と健全象牙質を判別する至適な励起光波長が405nmであることを明らかにし、至適な励起光波長を照出できる試作う蝕象牙質除去装置1号機を開発するに至った。1号機に装備した光源はLD光源であり、除去機の動力は超音波振動装置であった。超音波振動機は安全性高くう蝕象牙質を除去できるものの、必要最小限に実施するう窩の開拡のためのエナメル質除去において切削能率が低いことと、手指の感覚による浅層う蝕象牙質と深層う蝕象牙質の判断ができないため、比較的深部まで達している象牙質う蝕症例に対して施術時間が長くなることが危惧された。 平成25年度は、まず、光源を第1号機と同様のLD光源、動力を回転切削装置(歯科用マイクロエンジン)とする試作第2号機を完成した。この結果、ダイヤモンドポイントの回転切削によって十分なエナメル質切削性能が確認された。加えて、スチールバーの回転切削では通常ハンドピースと同様、手指の感覚も併用しながら軟化している浅層う蝕象牙質を効率的に除去できる可能性が示唆されており、引き続き、抜去歯を対象に得られた効率性によってう蝕認識精度が影響を受けないかどうか検討中である。 一方、超音波振動装置用ハンドピース先端部に波長405nmのLED光源を埋め込むことにより、導光経路での光量ロスをなくしたハンドピース試作に成功したため、光源をLED光源、動力を超音波発振装置とした試作第3号機を完成するに至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
う蝕罹患象牙質と健全象牙質を判別する至適な励起光波長と出力は昨年度研究をもとに405nm、80-90mW程度であることが確認されている。 同じ切削動力である超音波振動装置を装備し、LD(1号機)とLED(3号機)を光源とする試作う蝕象牙質認識・除去システムの認識・除去性能を比較したところ、1号機は、3号機よりも若干深層まで除去する傾向があることが明らかとなっている。(平成26年日本歯科保存学会春季学会発表予定) やや遅れていると評価した理由として、①試作すべき3台のシステム開発は完了できた。②各システムのう蝕象牙質認識・除去性能(特性)比較は概ねできている。これら2点に対して③除去された象牙質内のう蝕原因菌の侵入状況に関する詳細な検討が遅れている。④認識度を高めるとともに術者の目を保護する干渉フィルターの試作が遅れている。の2点が挙げられることから上記評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 引き続き、試作う蝕象牙質除去システム1~3号機の性能特性の検討を継続しながら以下の検討を行う。第1に、試作システムで認識されることなく、う蝕染色液に染色される象牙質内のう蝕原因細菌の存在確認を急ぎたい。第2に、う蝕罹患象牙質の認識度を高めるとともに術者の目への負担を軽減する干渉フィルターの検討も行いたいと考えている。 (次年度の研究費の使用計画) 繰り越し残金を可能な限り①光学フィルターの試作開発のために使用する予定であるが、引き続き②システム比較検討などの実験実施のための消耗品等も必要であり、③研究のとりまとめ(学会発表、論文投稿費を含む)などにも分配しながら使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当研究は計画に比べて若干遅れている。 特に、う蝕罹患象牙質の認識度を高めるとともに術者の目への負担を軽減する干渉フィルターの検討への機器、材料等の購入がなされていないために次年度度使用額が生じている。 繰り越し残金を可能な限り①光学フィルターの試作開発のために使用する予定であるが、引き続き②システム比較検討などの実験実施のための消耗品等も必要であり、③研究のとりまとめ(学会発表、論文投稿費を含む)などにも分配しながら使用する予定である。
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