研究概要 |
BMPなどのTGF-betaスーパーファミリーの細胞内シグナル伝達を担うsmadsを歯髄の硬組織形成能の促進・抑制を制御している因子と捉え、歯髄組織の硬組織形成能における調節機構を解明しようとするものである。特にsmad6, 7は、BMPシグナリングを抑制する因子として、BMPレセプタの直下で、smad1/5/8などのリン酸化を抑制し、硬組織形成を抑制している。smad6,7は、転写因子であるNFkBによって、転写活性があがり、発現する。どこで、本年度は、歯髄細胞を用いて、炎症性サイトカインや炎症性メディエータによるNFkBとsmad6,7の発現、およびFNkBを抑制するPyrrolidinedithiocarbamate(PDTC)を用いて、smad6,7の発現およびsmad1/5/8のリン酸化への影響を観察した。IL-1bによって、NFkBの遺伝子発現が増強され、smad6,7の遺伝子およびタンパク質レベルでの発現の増強を認めた。IL-6によって、NFkBの遺伝子発現が増強され、smad6,7の遺伝子およびタンパク質レベルでの発現の増強を認めた。TNF-aによって、NFkBの遺伝子発現が増強され、smad7の遺伝子およびタンパク質レベルでの発現の増強を認めた。PGE2によって、NFkBの遺伝子発現が増強され、smad6の遺伝子およびタンパク質レベルでの発現の増強を認めた。また、PDTCを歯髄細胞に添加しておき、炎症性サイトカインおよび炎症メディエータで作用すると、NFkBの発現が抑制され、smad6,7の発現が増強せず、smad1/5/8のリン酸化が抑制されなっかた。 これらの結果から、炎症性サイトカイン、メディエータはNFkBを介して、smad6,7の発現を誘導し、smad1/5/8のリン酸化を抑制することによって、歯髄の硬組織形成能を抑制していることが示唆された。
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