研究実績の概要 |
BMPなどのTGF-betaスーパーファミリーの細胞内シグナル伝達を担うsmadsを歯髄の硬組織形成能の促進・抑制を制御している因子と捉え、歯髄組織の硬組織形成能における調節機構と考え、本研究ではsmadsによる硬組織形成能における調節を解明しようとするものである。 波長660 nmおよび810 nmの半導体レーザー照射によって、照射12時間後のRT-PCRによるBMP-2, 4のmRNA遺伝子発現を観察したところ、660 nmレーザーではBMP-2が、810 nmレーザーではBMP-4が増大された。von Kossa染色による硬組織形成能の観察では、両者に顕著な差は認めなかった。さらに2波長のレーザー照射によるsmadsの遺伝子発現を観察したところ、660 nmではsmad1は時間経過とともに増加し,smad5の変化は認めず,smad6は変化を認めず,smad7は時間経過とともに減少している。810 nmではsmad1および5は6hでピークを認め,smad6,7は変化を認めなかった。660 nmおよび810 nmともに弱い傾向であるが,特異型smad1または5の時間経過とともに上昇を認め,抑制型smad6,7の変化は認めなかったことから,660 nmおよび810 nmのレーザー照射は硬組織形成を促進することを示唆した。また,660 nmではsmad1の増加を,810 nmではsmad5の増加を強く認めた。660 nm照射と810 nm照射では,異なる経路でsmadに関与する可能性を見出した。 今後,この差異についての検討を予定している。
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