研究実績の概要 |
被験者6名によるin situ実験(私達の考案した義歯形状新規口腔内装置を使用)を最終年度も継続した. 象牙質試料をウシ下顎中切歯の歯根部から作製し,3×1mmの窓開けをネイルバーニッシュにて行った.窓開け面の半分をS-PRGフィラー含有歯面コーティング材(松風社製)で被覆した象牙質試料,およびコントロールとしてS-PRGフィラーを含まない歯面コーティング材(松風社製)で被覆した象牙質試料を同数ずつ用意した.今年度は前年度とは左右の群を入れ替えた.すなわち前者試料は各被験者の左側口腔内装置,後者試料は右側装置の頬側フレンジ凹部に3つずつ挿入し,シリコン印象材を用いて取り付けた.口腔内装置は1日3回の食事時に10%シュクロース水溶液に浸漬し,その時間以外は必ず口腔内に装着した.このスケジュールを20日間繰り返した.その後得られた象牙質試料から通法に従いTMR分析を行った.前年度得られた結果と総合したところ,in situでは,in vitroでのこの材料に関する研究と比較すると、日常使用しているフッ化物含有歯磨剤の効果にマスクされてしまう傾向が認められたが,ミネラル喪失量の多かった被験者には正常より唾液分泌量の低い者もおり,この材料を使用することにより臨床的に象牙質の脱灰抑制能を増強させることのできる可能性が示された. 同時に,前年度までに日本歯科保存学会学術大会などにおいて発表を行った,in vitroにおけるS-PRGフィラー含有歯面コーティング材の根面象牙質再石灰化効果について,英語論文「Effect of the coating material on root dentin remineralization in vitro. American Journal of Dentistry, 27, 258-262, 2014.」としてまとめ,その成果を世に発信した.
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